【実践】もしもの時すぐ取り出せる!わが家の防災グッズ収納場所と管理方法
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防災のために、食料や水、生活用品などの備蓄品や、もしもの時に持ち出す防災リュックを準備されている方は多いと思います。でも、「せっかく備えた防災グッズ、どこに置けばいいのだろう」「いざという時にすぐ取り出せるかな」「ちゃんと管理できているか不安」と感じていらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に小さなお子様がいるご家庭では、考えること、やることがたくさんあり、防災グッズの「どこに置くか」「どう管理するか」までは、なかなか手が回らないかもしれません。でも、もしもの時に備えをすぐに活用できるかは、実は「収納」と「管理」にかかっています。
この記事では、忙しい毎日の中でも無理なく実践できる、防災グッズの具体的な収納場所のアイデアと、家族みんなでできる簡単な管理方法をご紹介します。ご家庭の状況に合わせて、ぜひ参考にしてみてください。
なぜ防災グッズの収納と管理が重要なのか
ただ防災グッズを揃えるだけでなく、適切な場所に収納し、定期的に管理することがなぜ大切なのでしょうか。
- 迅速な行動のため: 地震や火事など、発生から数分、数秒で行動が必要になる災害もあります。玄関や寝室など、避難経路の近くに防災リュックがあれば、すぐに持ち出すことができます。どこに何があるか分かっていれば、落ち着いて行動できます。
- 家族みんなが使えるように: 家族の誰でも防災グッズの場所が分かっていれば、自分一人で対応できない状況でも安心です。特に日中、保護者が不在の場合でも、お子様や一緒にいる方が安全に備えを活用できるようになります。
- 備蓄品の鮮度・状態維持: 食料や水には賞味期限があります。薬や衛生用品なども状態が悪くなることがあります。適切に管理することで、いざという時に使えない、という事態を防ぐことができます。
- 無駄な重複を防ぐ: どこに何があるか把握できていれば、同じものを重複して購入することを避けられます。
このように、防災グッズの収納と管理は、備えを「生きている備え」にするために欠かせないステップです。
防災グッズを種類別に分類して収納を考える
一口に「防災グッズ」と言っても、その種類は様々です。まずは大きく種類分けして考えると、どこに何を置くべきかが見えてきます。
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一次持ち出し品(すぐに持ち出すもの):
- 例:防災リュック(水、食料、ライト、ラジオ、救急セット、貴重品など)
- 収納場所の考え方: 避難する際に、玄関や寝室など、すぐに取り出せる場所に置くことが基本です。人数分のリュックをまとめて置くか、それぞれの寝室に置くかなど、ご家庭のライフスタイルに合わせて決めましょう。
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二次持ち出し品(自宅が安全な場合に持ち出すもの):
- 例:追加の食料、水、寝袋、着替え、テントなど
- 収納場所の考え方: 一次持ち出し品ほど切迫度は高くないですが、比較的容易に取り出せる場所が望ましいです。リビングの収納、クローゼット、納戸などが考えられます。
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備蓄品・在宅避難用品:
- 例:長期保存可能な食料、水、カセットコンロ・ガス、簡易トイレ、毛布、トイレットペーパー、ティッシュ、ポリ袋、カセットコンロ用ボンベなど
- 収納場所の考え方: 電気、ガス、水道が止まっても自宅で数日間〜1週間程度過ごせるように備えるものです。キッチン、パントリー、床下収納、物置など、ある程度の量をまとめて保管できる場所が適しています。日常的に消費・補充する「ローリングストック」を実践する場合は、普段使う食品の近くに置くと管理しやすくなります。
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日常的に使う・各部屋に置くもの:
- 例:懐中電灯、スリッパ、笛(防犯・合図用)、軍手、家具固定グッズ
- 収納場所の考え方: 災害発生時にすぐに使えるよう、各部屋の枕元やリビングの分かりやすい場所、または家具の近くなど、使う可能性のある場所に分散して置くと便利です。
具体的な収納場所アイデア
上記の分類を踏まえ、ご家庭の構造や広さに合わせた具体的な収納場所のアイデアをご紹介します。
- 玄関: 防災リュックの定位置として最適です。下駄箱の上や横、空きスペースに置けるコンパクトなタイプを選ぶのも良いでしょう。
- 寝室: 就寝中に災害が発生した場合に備え、各寝室に人数分の防災リュックや、枕元に懐中電灯、スリッパ、笛などを置くと安心です。ベッドの下やチェストの一部を活用できます。
- リビング・ダイニング:
- リビング収納:家族が集まる場所なので、二次持ち出し品や、簡単な救急セット、家族構成に応じた備蓄品の一部をまとめておくのに便利です。中身が見える収納ボックスを使ったり、ラベリングしたりすると分かりやすくなります。
- ダイニングテーブルやカウンターの下:簡易的な防災セット(ラジオ付きライト、ウェットティッシュなど)を置いておくと、日常使いにも役立ちつつ、いざという時にもすぐに使えます。
- キッチン・パントリー: 食品や水の備蓄品、カセットコンロ・ガスボンベの収納に適しています。普段使う食品のストックと合わせて管理すると、ローリングストックがスムーズに行えます。
- クローゼット・押入れ・納戸: 衣類や季節家電の隙間、上段や下段などのデッドスペースを活用できます。二次持ち出し品や、衣類、毛布、簡易トイレなどを収納するのに向いています。
- 床下収納: 水など、重くて場所を取るものの長期保管に適しています。ただし、定期的な点検を忘れないようにしましょう。
- 物置・ベランダのストッカー: 自宅外にあるため、すぐに取り出すものには向きませんが、灯油缶やアウトドア用品と合わせて、カセットコンロの予備ガスボンベなどを保管できます。(高温になる場所は避けてください)
- 家具の隙間・デッドスペース: 薄型ファイルボックスに簡易トイレセットやポリ袋などをまとめて、家具の隙間に立てて収納するなど、工夫次第で様々な場所を活用できます。
収納をスッキリさせる工夫とアイテム
場所を決めたら、より使いやすく、分かりやすく収納するための工夫を取り入れましょう。
- 収納ボックス・ケースを活用: 中身が見えるクリアタイプ、または蓋付きでホコリを防ぐタイプなど、用途や場所に合わせて選びます。大きさや形を揃えると、見た目もスッキリし、重ねて収納する際にも便利です。
- ラベリング: ボックスや棚には必ず中身が分かるようにラベルを貼りましょう。家族みんなが分かるように、文字だけでなく、イラストや写真を使うのも良い方法です。
- 仕切りを使う: 収納ボックスの中で、さらにポーチや巾着、ブックエンドなどで仕切ると、中身がごちゃつかず、必要なものをサッと取り出せます。
- 吊るす収納: 玄関やクローゼットの壁にフックを取り付け、懐中電灯やホイッスルなどを吊るしておくと、すぐに手に取れます。
- 日常使いと兼用: 普段使っているリュックやバッグの一部を防災ポーチとして活用したり、ウォーターサーバーの水を備蓄の一部とみなしたりするなど、日常と防災の境界をなくすことで、管理の手間を減らせる場合があります。
家族みんなで取り組む簡単な管理方法
収納場所を決めてスッキリ収めたら、次は管理です。忙しい中でも負担なく続けられる方法をご紹介します。
- 見える化と共有:
- 収納マップを作る: どの部屋のどこに何を置いているか、簡単な見取り図やリストを作成します。家族で共有できる場所に貼っておいたり、スマートフォンのメモ機能や共有アプリに入力したりすると便利です。子供と一緒に絵を描きながら作るのも、良い防災教育の機会になります。
- 写真で共有: 防災グッズが入ったボックスや棚の写真を撮り、家族のグループLINEや共有アルバムで共有します。視覚的に分かりやすいので、場所や中身の確認が容易です。
- 定期的なチェックリストと点検:
- チェックリストを作成: 備蓄品の賞味期限リスト、防災リュックの中身リストなどを作成します。項目ごとにチェックボックスを作り、点検日を記入できるようにしておくと管理しやすくなります。
- 点検日を決める: 半年に一度(防災の日や年の初めなど)、または季節の変わり目など、具体的な点検日を決めておきます。家族のイベントのように「年に2回の防災点検デー」としてしまうのも良いかもしれません。
- 子供と一緒に点検: 点検は家族みんなで行うのが理想です。子供には「これは何に使うのかな?」「いつまで美味しく食べられるかな?」などと声をかけながら、防災への関心を高め、知識を深めてもらいましょう。中身を出す、しまうといった作業を手伝ってもらうのも良い経験になります。
- 買い物の「ついで」に補充: ローリングストックを意識し、日常の買い物の際に消費した備蓄品を補充します。チェックリストを見ながらリストアップしておけば、無駄なく効率的に補充できます。
- アプリを活用: 備蓄品の管理や賞味期限を管理できるスマートフォンアプリも登場しています。そうしたツールを活用するのも、手間を減らす有効な方法です。
まとめ:まずは一歩から、無理なく続けることが大切
防災グッズの収納と管理は、一度完璧にやろうと気負いすぎると疲れてしまいます。まずは防災リュックの置き場所を決める、備蓄品のリストを作るなど、できることから一歩ずつ始めてみましょう。
そして、ご家庭の状況(家族構成、年齢、住居の広さや構造など)は常に変化します。それに合わせて、防災グッズの収納場所や管理方法も柔軟に見直していくことが大切です。
この記事でご紹介したアイデアが、皆様のご家庭の防災計画の一助となれば幸いです。もしもの時、大切な家族の安全を守るために、「すぐに取り出せる」備えを目指して、一緒に取り組んでいきましょう。