【実践】子連れ外出中のもしもに備える！災害時の行動計画と持ち物チェック
【実践】子連れ外出中のもしもに備える！災害時の行動計画と持ち物チェック
毎日の生活の中で、お子さんと一緒に買い物に出かけたり、公園で遊んだり、習い事の送迎をしたりと、ご自宅以外で過ごす時間も多いことと思います。
もし、そんな外出中に大きな地震やその他の災害が発生したら、どうすれば良いのでしょうか。自宅での備えは進めているけれど、外出中の「もしも」までは考えられていない、という方もいらっしゃるかもしれません。
特に小さなお子さんと一緒の場合、身の安全確保はもちろん、子どもの保護や情報の少ない中での判断、避難場所への移動など、自宅にいる時とは異なる難しさがあります。
この記事では、子育て中の皆さんが、もし子どもと外出中に災害に遭ってしまった場合に役立つ、具体的な行動計画と、普段から持ち歩きたいもののリストをご紹介します。日々の忙しい中でも、少し立ち止まって「もしも」をシミュレーションする時間を持っていただければ幸いです。
子連れ外出中の「もしも」を考える必要性
なぜ、外出中の「もしも」に備えることが大切なのでしょうか。
自宅であれば、家具の固定や備蓄品の準備など、ある程度予測して対策を講じることができます。しかし、外出先は場所によって状況が全く異なります。建物の中にいるのか、外を歩いているのか、公共交通機関に乗っているのかなど、その時の状況に応じた対応が必要です。
また、小さなお子さんは自分で状況を理解したり、危険を判断したりすることが難しい場合が多く、大人がしっかりと守り、安全な場所に誘導する必要があります。子どもの安全を守りながら、ご自身の身も守り、必要な情報を集めて適切な行動をとるためには、事前にいくつかのパターンを想定し、心の準備をしておくことが大切です。
子どもと外出中に被災！その時どうする？基本的な行動計画
もし、外出中に災害が発生した場合、どのような行動をとるべきでしょうか。焦らず落ち着いて行動するために、いくつかのステップで考えてみましょう。これはあくまで基本的な流れです。状況に応じて柔軟に対応してください。
Step 1: まずは身の安全確保
大きな揺れを感じたり、周囲で危険な状況が発生したりしたら、まずはご自身とお子さんの身の安全を最優先に確保してください。
- 建物の中にいる場合: 丈夫な机の下などに隠れる、カバンなどで頭を守る。窓ガラスや照明器具、倒れる可能性のある家具から離れる。
- 外を歩いている場合: ブロック塀や自動販売機、看板など倒壊・落下する危険のあるものから離れる。丈夫な建物や開けた場所に移動する。
- 公共交通機関に乗っている場合: 係員の指示に従う。電車内であればつり革や手すりにつかまり、揺れに備える。バス内であれば座席に深く座り、姿勢を低くする。
揺れがおさまった後も、落下物や建物の倒壊など、二次的な危険がないか十分に注意してください。
Step 2: 子どもの安全確認と保護
揺れがおさまったり、安全な場所に移動できたりしたら、すぐにお子さんの様子を確認してください。怪我はないか、ショックを受けていないかなど、優しく声をかけながら確認します。
お子さんが怖がっているようであれば、抱きしめたり、手を握ったりして安心させてあげてください。状況が許せば、子どもの好きな歌を歌ったり、絵本を持ち歩いていれば読んであげたりすることも、落ち着きを取り戻す助けになります。
Step 3: 周囲の状況確認と情報収集
身の安全を確保し、子どもを落ち着かせたら、周囲の状況を確認します。
- いる場所は安全か（火災、建物の損壊、落下物など危険はないか）
- これからどうすれば良いか（その場に留まるべきか、移動すべきか）
正確な情報を得ることは、その後の行動を判断するために不可欠です。
- スマートフォン: 災害情報を伝えるニュースサイト、SNS、自治体からの情報発信などを確認します。ただし、回線が混雑して繋がりにくい場合があります。
- テレビ・ラジオ: 近くに商業施設などがあれば、テレビやラジオで情報が得られる可能性があります。
- 周囲の人: 警察官や消防士、地域の避難誘導員、商業施設の従業員、周囲の人と協力して情報を共有します。
- 防災アプリ: 災害情報、避難情報、家族の安否確認機能など、事前にインストールしておいた防災アプリを活用します。
Step 4: 連絡方法の確認と家族への連絡
家族に安否を伝え、家族の無事を確認することも非常に重要です。
- 災害用伝言ダイヤル（171）: 音声で安否情報を伝えたり確認したりできます。
- 災害用伝言板（web171）: インターネットで安否情報の登録・確認ができます。
- 携帯電話会社の災害用伝言板サービス: 各キャリアが提供するサービスです。
- SNS: TwitterやFacebookなどで安否情報を発信する・確認する。
- LINEなどのメッセージアプリ: 家族間であらかじめ「災害時はスタンプひとつ送る」など、簡単なルールを決めておくと良いでしょう。
- 防災アプリの安否確認機能: 家族など特定の人との安否確認に特化した機能を持つアプリもあります。
災害時は電話回線が混雑しやすいため、音声通話よりもデータ通信を使った連絡手段（メッセージアプリ、SNS、災害用伝言板など）が繋がりやすい傾向があります。また、家族であらかじめ「〇時になったら連絡を試す」「連絡が取れない場合は△△に集合する」といった約束事を決めておくことが安心に繋がります。（参考記事：【実践】家族で決める！災害時の連絡方法・安否確認・集合場所ガイド）
Step 5: その場に留まるか、移動するか判断
安全な場所にいることが確認でき、家族との連絡や情報収集がある程度できたら、次に「今の場所に留まるか」「安全な場所に移動するか」を判断します。
- その場に留まる（一時滞在施設など）: いる場所が丈夫な建物の中であり、食料や情報が得られる、余震や火災などの危険が少ない場合は、無理に移動せずその場に留まることが安全な場合もあります。商業施設や駅などが一時滞在施設として開放されることもあります。
- 安全な場所に移動する: いる場所に危険がある場合（倒壊の恐れ、火災が近いなど）、または家族との合流や帰宅を目指す場合は、安全を確認しながら移動します。
判断する際は、お子さんの年齢や体調、天候、周囲の状況などを総合的に考慮してください。無理な移動は危険を伴います。特に小さなお子さん連れの場合、移動には時間がかかり、体力も消耗します。
Step 6: 一時避難場所または自宅/避難所への移動
移動を決めたら、安全なルートを選んで移動を開始します。
- 安全なルートの確認: いつも通る道でも、塀が崩れたり、電柱が倒れたりして危険な場所になっている可能性があります。ハザードマップや自治体の情報、周囲の状況を確認しながら、できるだけ安全なルートを選んでください。
- 子どものペースで: 小さなお子さんを抱っこしたり、手をつないで歩いたりする場合、大人のペースでは移動できません。子どもの体力に合わせて休憩を取りながら、根気強く移動してください。ベビーカーが使えない可能性も考慮が必要です。
- 一時避難場所: 公園や学校のグラウンドなど、広い場所は一時的な避難場所として指定されていることがあります。まずはこうした場所に身を寄せ、安全を確保することも有効です。
- 指定避難所: 自宅が被災したり、危険で戻れなくなったりした場合は、自治体が指定する避難所への移動を検討します。（参考記事：【家族で確認】もしもの時、どこへ行く？わが家の地域の避難所を調べる・備えるステップ）
移動中は常に周囲への注意を怠らず、二次災害に巻き込まれないよう十分に警戒してください。
外出時に携帯しておきたい「子連れあんしんポーチ」の中身リスト
外出中に「もしも」の状況に陥った時、少しでも役立つものがあると安心です。日頃から持ち歩くカバンの中に、いざという時に役立つものをまとめて入れておくと良いでしょう。これを「子連れあんしんポーチ」と呼びます。
一般的な防災ポーチに加えて、子育て家庭に特化したアイテムをリストアップします。
- 連絡先リスト・家族情報: 家族の連絡先、親戚などもしもの時の連絡先、自宅の住所、子どもの氏名・生年月日、アレルギーや持病などの情報を書いたメモ。スマートフォンのバッテリーが切れた場合に役立ちます。
- 母子手帳・保険証のコピー: 子どもの医療情報や本人確認に必要になる場合があります。
- 現金: 停電などによりATMやキャッシュレス決済が使えなくなる可能性があります。公衆電話の使用や、非常時の物品購入に役立ちます。小銭もあると便利です。
- モバイルバッテリー: スマートフォンの充電切れは情報収集や連絡手段を失うことにつながります。予備のケーブルも忘れずに。
- 携帯用トイレ・ウェットティッシュ: 公衆トイレが使えない場合や、手を洗えない場合に衛生的です。子どもの使用済みオムツを処理する袋もあると便利です。
- アルコール消毒液: 手指を清潔に保ちます。
- 常備薬・ばんそうこう: 絆創膏数枚と、お子さんやご自身に必要な常備薬（アレルギー薬、胃薬など）を少量。
- おやつ・飲み物: 子どもの空腹を満たし、安心させるためのおやつ（個包装で日持ちするもの）。小さなペットボトル飲料や、空になったら畳めるタイプの容器も良いでしょう。
- おむつ・おしりふき（必要な場合）: 数枚あると安心です。
- 着替え（必要な場合）: 下着や靴下など、最低限の着替えがあると安心です。
- 小さなタオル: 汗を拭いたり、応急処置に使ったり。
- ビニール袋: ゴミ袋、防水、防寒など多用途に使えます。数枚あると便利です。
- ホイッスル: 助けを呼ぶ時や、居場所を知らせる時に役立ちます。
- 防寒具: 薄手のブランケットや羽織るもの。体温調節に役立ちます。
- お子さんの気を紛らわせるもの: 小さな絵本、おもちゃ、折り紙など、子どもが落ち着くためのもの。
これらのものを、普段使いのカバンに入れる小さなポーチや袋にまとめておくと、忘れ物を防ぎ、いざという時にすぐに取り出せます。全てを常に持ち歩くのが難しい場合は、週末などに中身を点検し、必要なものを補充する習慣をつけるだけでも効果があります。
事前に家族と話し合っておきたいこと
外出中の「もしも」に備えるためには、ご家族との事前の話し合いも欠かせません。
- 家族の連絡先と安否確認方法: 家族全員の電話番号、メールアドレス、SNSアカウントなどを共有しておく。災害時の連絡手段（災害用伝言ダイヤルなど）や、メッセージを送る際のルールを決めておく。
- 待ち合わせ場所: 自宅や学校、職場など、普段活動する場所の近くで、万が一連絡が取れなくなった場合の集合場所を決めておく。公園や大きなスーパーなど、分かりやすく安全な場所が良いでしょう。
- 子どもの預け先や学校との連携: 保育園や幼稚園、学校の引き渡しルールや、災害時の対応について確認しておく。
- 一時避難場所の確認: よく行く場所（スーパー、公園、駅など）の近くに、一時的に身を守れる安全な場所がないか確認しておく。スマートフォンの地図アプリで地域の広域避難場所などを確認できるようにしておくことも有効です。
こうした話し合いは、一度きりではなく、お子さんの成長や家族構成の変化に合わせて定期的に見直すことが大切です。
まとめ
子育て中の忙しい日々の中で、外出中の「もしも」まで考えるのは大変に感じるかもしれません。しかし、万が一の時に慌てず、お子さんを守りながら安全を確保するためには、事前の準備が何よりも大切です。
この記事でご紹介した行動計画や持ち物リストは、あくまで一例です。ご自身とお子さんがよく行く場所や、日頃の行動パターンに合わせて、必要なものを加えたり、計画を修正したりしてください。
今回ご紹介した内容を参考に、ご家族で「もしも外出中に被災したら、どうする？」というシミュレーションを話し合ってみてはいかがでしょうか。こうした小さな備えの積み重ねが、ご家族みんなの安心に繋がります。