【実践】もしもの時、子どもと決める!わが家の防災「約束」リスト
はじめに:忙しい毎日でも、子どもとの「もしも」を話す時間を作りませんか?
子育てやお仕事で毎日お忙しい中、防災について考える時間はなかなか取れないかもしれません。特に、小さなお子さんと一緒に「もしも」の時のことを具体的に話すのは、少し難しく感じることもあるでしょう。
でも、もしもの災害が起きた時、ご家族がいつも一緒にいるとは限りません。お子さんが学校や保育園にいる時、親御さんがお仕事で離れている時など、それぞれが別の場所にいる可能性も十分にあります。
そんな時、事前にお子さんと一緒に「こうしようね」と約束しておいたことがあると、お互いが少しでも落ち着いて行動できることに繋がります。これは、特別な訓練ではなく、日々の生活の中で少しずつ確認できる「わが家だけのルール」のようなものです。
この記事では、子育て中のご家庭で、お子さんと一緒に無理なく、具体的な防災の「約束」を決めるためのヒントと、すぐに使える「約束リスト」の例をご紹介します。
なぜ、子どもと「防災の約束」を決めることが大切なのでしょうか?
1. 子ども自身の安全を守る行動に繋がる
災害時、大人がそばにいなくても、事前に知っている「約束」があれば、子どもは次にどうすれば良いか判断しやすくなります。「揺れたらまず頭を守る」「危ない場所から離れる」など、基本的な安全行動を身につける助けになります。
2. パニックを軽減し、落ち着いて行動できる
未知の事態は大人でも不安になるものです。子どもならなおさらです。事前に「〇〇になったら△△だよ」と具体的な約束を知っていることで、漠然とした不安が和らぎ、落ち着いて指示を聞いたり、自分で考えたりする余裕が生まれる可能性があります。
3. 家族の安心に繋がる
親御さんにとっても、お子さんが「もしもの時」にどう行動するかを理解し、約束していることは大きな安心感に繋がります。また、約束事を決める過程で、家族間のコミュニケーションが深まり、信頼関係を築くきっかけにもなります。
4. 自主的に考える力を育む
「言われたからやる」だけでなく、「なぜこの約束が必要なのか」「どうすれば安全か」を子どもと一緒に考える過程は、子ども自身が状況に応じて判断し、自主的に行動する力を育むことにも繋がります。
子どもと決めておきたい具体的な「防災の約束」リスト例
ここでは、子育て家庭で特に決めておくと良い具体的な約束事の例をリストアップします。お子さんの年齢や理解度、ご家庭の状況に合わせて、リストを参考に話し合ってみてください。
【リスト1】揺れや音を感じた時の「身の安全を守る」約束
- 大きな揺れを感じたら?
- 近くにある机やテーブルの下にすぐに隠れる。
- 頭をクッションや手で守る。
- 窓ガラスや背の高い家具から離れる。
- 地震の音(地鳴りや家がきしむ音)がしたら?
- おもちゃで遊んでいても、いったん動きを止めて様子を見る。
- 大人の声を聞く準備をする。
- 遊んでいる時、寝ている時に揺れたら?
- 遊んでいる場所(リビング、子ども部屋など)で、まず安全な場所に移動する(例:部屋の中央、丈夫な家具の下)。
- 寝ている時は、枕や布団を頭にかぶる。
【リスト2】地震がおさまった後の「その場での行動」に関する約束
- 揺れがおさまったらどうする?
- すぐに立ち上がって動き回らない。
- 大人の「大丈夫だよ」「こっちにおいで」などの声かけを待つ。
- もし大人が近くにいない場合は、安全な場所で静かにしている。
- 危ない場所はどこ?
- 割れたガラスのそばには近づかない。
- 倒れかかっている家具には触らない。
- 電気がつかなくなっても、ライターやマッチは使わない(火災の危険)。
- もし、家が壊れてしまったら?(少し大きなお子さん向け)
- 安全に外に出られそうなら、前に決めた避難場所(一時集合場所など)へ行く。
- もし外に出るのが難しそうなら、家の中で一番安全な場所(例:玄関付近、広い部屋の中央など)に集まる。
【リスト3】家族との連絡や合流に関する約束
- パパやママと連絡が取れない時は?
- 前に決めた「災害用伝言ダイヤル(171)」の使い方や、家族で使う連絡アプリの使い方を覚える。(練習しておく)
- おじいちゃんやおばあちゃん、親戚など、事前に決めておいた「連絡が取れる他の人」に電話してみる。
- 家族とどこで会う?
- 自宅が安全なら、家で待っている。
- 自宅にいるのが難しければ、前に家族で決めた「集合場所」へ行く。(例:近所の公園、特定の目印がある場所など)
- 学校や保育園にいる時は、先生の指示に従う。(これはとても大事な約束!)
- 知らない人に声をかけられたら?
- 原則として、知らない人の車に乗ったり、一緒に行ったりしない。
- 困っている時は、制服を着た大人(警察官、消防士)や、近所の顔見知りの大人に助けを求める。
【リスト4】避難生活に関する約束(少し大きなお子さん向け)
- 避難所へ行くことになったら?
- 持っていくと良いものを一緒に準備する。(おやつ、お気に入りの本、おもちゃなど、少しでも安心できるもの)
- 避難所では、他の人に迷惑をかけないように静かに過ごす。
- お手伝いできることがあれば、積極的に行う。
子どもに「防災の約束」を伝えるための工夫
約束事を決めるだけでなく、お子さんが理解し、覚えられるように伝える工夫も大切です。
- 難しく考えすぎず、シンプルに:一度にたくさんのことを教えず、一つか二つ、一番大切なことから始めましょう。
- ゲーム感覚で、楽しく:「もし大きな音がしたら、どこに隠れるゲームをしよう!」「この絵の中で、どこが一番安全かな?」など、クイズやゲーム形式で。
- 絵や写真を使う:口頭だけでなく、イラストや写真を使って視覚的に分かりやすく説明します。お子さんと一緒に「わが家の安全マップ」を作るのも良いでしょう。
- 短い言葉で、具体的に:「グラグラがきたら、だんごむしポーズ!」「お外でママと会えない時は、〇〇公園の大きな木の下で待つ」など、印象に残りやすい言葉で。
- 繰り返し確認する:一度話しただけで終わりではなく、時々、絵本を読んだり、ニュースを見たりした機会に「前に話した〇〇、覚えてる?」と優しく確認します。
- 褒めて励ます:約束事を覚えたり、防災について考えたりした時は、「よく覚えてたね!」「一緒に考えてくれてありがとう!」と褒めて、前向きな気持ちを育てます。
家族会議で「わが家の約束」を決めよう
改まって「防災会議」とする必要はありません。普段の夕食後や、休日のリラックスした時間などに、「もし、地震がきたらどうする?」と自然な流れで話し始めてみましょう。
- 話し合いのきっかけを作る:テレビで防災の話題が出た時、地域の防災訓練の案内を見た時、絵本を読んだ時など、日常の中のきっかけを利用します。
- 子どもの意見を聞く:「〇〇ちゃんは、もしおうちに一人でいる時に地震がきたら、どうしたら良いと思う?」と、まずは子どもの考えや感じていることを聞いてみます。
- 具体的な状況を想像する:「もし、お買い物に行っている時に地震がきたら?」「もし、夜寝ている時にきたら?」など、いくつかの状況を想定して話します。
- 「わが家のルール」を決める:話し合ったことをもとに、「じゃあ、わが家ではこうしようね」と具体的な約束事を決めます。可能であれば、紙に書き出したり、絵に描いたりして、家族みんなが見える場所に貼っておくと良いでしょう。
- 定期的に見直す:お子さんの成長や、家族の状況の変化に合わせて、約束事も見直が必要です。半年に一度、一年に一度など、定期的に確認する日を決めておくと忘れにくいです。
まとめ:小さな一歩が、大きな安心に繋がります
「防災の約束」作りは、一度に完璧を目指す必要はありません。今日、この記事を読んだことをきっかけに、お子さんと一つだけ、簡単な約束を決めてみることから始めてみましょう。
例えば、「地震がきたら、まず頭を守る」という一番大切な約束だけを、絵本を読んだ後に確認するだけでも、大きな一歩です。
忙しい毎日の中でも、こうした小さな積み重ねが、もしもの時の家族の安全と安心に繋がります。ぜひ、ご家庭に合ったペースで、楽しみながら「わが家の防災約束」を作ってみてください。そして、それはお子さんにとっても、生きる上で大切な「自分で考えて行動する力」を育む機会にもなるでしょう。
この記事が、あなたの家庭の防災計画を、より具体的で、家族みんなが主体的に取り組めるものにするための一助となれば幸いです。