子育て家庭向け ステップで始める!わが家の防災計画の立て方と見直し方
毎日お仕事や育児、家事にとお忙しい中、防災のこと、「ちゃんとしないといけないな…」と気になりつつも、なかなか手がつけられないと感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。何から始めればいいか分からない、難しそう、時間がない…そう思われるのも当然です。
でも、大丈夫です。防災計画は、一度に完璧なものを作る必要はありません。ご家庭の状況に合わせて、少しずつ、そして定期的に見直していくことが大切です。この計画は、もしもの時に家族が冷静に行動するための羅針盤のようなものです。特に小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では、家族みんなで意識を共有することが、大きな安心につながります。
この記事では、子育て中のご家庭が無理なく、そして具体的に、わが家の防災計画を立てて、定期的に見直していくためのステップをご紹介します。ぜひ、できることから少しずつ取り組んでみてください。
なぜ「わが家の防災計画」が必要なのでしょうか?
地域や自治体は、全体の避難計画や災害対策を定めていますが、ご家庭ごとに家族構成や住んでいる場所、日中の過ごし方は異なります。そのため、もしもの時に「わが家はどうするのか?」を具体的に決めておくことが非常に重要になります。
計画を立てておくことで、以下のようなメリットがあります。
- いざという時、冷静に行動できる: 何も決めていないと、混乱の中でどうすれば良いか分からなくなってしまいます。事前に決めておけば、迷わず行動に移せます。
- 家族間の意識を共有できる: パートナーや大きなお子さんと計画を共有することで、互いに助け合い、協力体制を作ることができます。
- 必要な準備が明確になる: 計画を立てる過程で、「わが家には何が必要か」「何が足りないか」が具体的に見えてきます。
- 安心感が生まれる: 備えがあるという事実は、日々の暮らしにおける漠然とした不安を軽減してくれます。
ステップで始める!わが家の防災計画の立て方
それでは、早速、わが家の防災計画を立てるための具体的なステップを見ていきましょう。難しく考えず、まずは話し合えるところから始めてみてください。
ステップ1:わが家の「もしも」を想像してみましょう(リスクの把握)
まずは、ご自身のお住まいの地域やご家庭の状況から、どのような災害リスクがあるかを考えてみます。
- 地域の災害リスクを知る: ご自宅のある地域のハザードマップを確認します。洪水、土砂災害、地震の揺れやすさ、津波などのリスクが分かります。自治体のウェブサイトや窓口で入手できます。
- 参考:【はじめてでも安心】家族みんなで確認!地域のハザードマップを防災に活かす簡単ステップ
- 家族の状況を考える: 小さなお子さん、高齢者、病気や障がいのある家族はいますか?アレルギーや持病など、特別な配慮が必要なことはありますか?家族それぞれの日常の過ごし方(日中、夜間、学校や保育園・職場など)を把握します。
- 自宅の状況を考える: マンションですか?一戸建てですか?建物の耐震性は?家具の配置は?自宅での安全な場所はどこでしょうか?
このステップでは、完璧に全てを把握しようとせず、「わが家の場合、こんな可能性があるかな」と話し合うことから始めます。
ステップ2:もしもの時の「行動目標」を決めましょう
ステップ1で確認したリスクを踏まえて、「もしも」の時にどうしたいかを大まかに決めます。
- 自宅は安全?避難は必要?: 災害の種類や自宅の被害状況によって、取るべき行動は変わります。自宅が比較的安全であれば「在宅避難」を、危険があれば「避難所への避難」や「親戚・知人宅への避難」を検討します。ハザードマップで浸水区域にあるかなども判断材料になります。
- 参考:【時短】もしもの時、家に留まるために!子育て家庭向け在宅避難の準備とチェックリスト
- どこへ避難する?: 避難が必要な場合、まず向かう「指定緊急避難場所」(災害の危険から命を守るために一時的に避難する場所)や、一定期間滞在できる「指定避難所」(避難生活を送る場所)を確認します。自宅から避難所までの複数の安全なルートや所要時間を、家族で歩いて確認しておくとより具体的になります。
- 参考:【家族で確認】もしもの時、どこへ行く?わが家の地域の避難所を調べる・備えるステップ
- 家族の連絡方法は?集合場所は?: 災害時は電話がつながりにくくなることがあります。安否確認の方法(災害用伝言ダイヤル、SNS、特定のアプリなど)や、離ればなれになった場合の集合場所(自宅、避難所、公園など複数候補)を決めておきます。
- 参考:【実践】家族で決める!災害時の連絡方法・安否確認・集合場所ガイド
- 参考:【時短】スマホとアプリで賢く!家族で共有する災害情報の集め方
ステップ3:具体的な「準備リスト」を作成・実行しましょう
ステップ2で決めた行動目標を実現するために、具体的な準備リストを作成します。
- 持ち出し品の準備: 一次持ち出し品(最低限必要なものを入れた防災リュック)と、二次持ち出し品(避難生活であると便利なもの)をリストアップし、準備します。家族構成(特に子供の年齢)に合わせて中身を調整することが大切です。
- 参考:【実践的】家族構成に合わせて準備!わが家の防災リュックの中身と点検方法
- 備蓄品の準備: 在宅避難やライフライン停止に備え、水、食料、日用品などの備蓄品をリストアップします。無理なく続けるには、「ローリングストック法」(普段使っているものを少し多めに買って、古いものから使い、使った分だけ買い足す方法)がおすすめです。
- 参考:【時短&賢く】買い物ついでにできる!家族のための非常食ストック術(ローリングストック活用)
- 参考:忙しい毎日の味方!時短で始める家族の防災備蓄チェックリスト
- 自宅の安全対策: 家具の固定、窓ガラスの飛散防止対策、非常用照明の準備など、自宅でできる安全対策をリストアップし、できることから実施します。
- 参考:【今日からできる】家族の安心を守る!自宅の地震対策チェックリスト
- 情報の入手方法の確認: 災害発生時の情報源(テレビ、ラジオ、インターネット、自治体からの情報、防災アプリ、SNSなど)を確認し、複数の手段を確保しておきます。
この段階では、リストを作るだけでなく、実際に準備を進めていくことが重要です。一度に全てを揃えようとせず、「今月は非常食を〇日分買ってみよう」「来週は家具の固定を一つやってみよう」というように、小さな目標を立てて取り組むと負担が少ないです。
ステップ4:家族みんなで計画を「共有」しましょう
計画を立てるだけでは意味がありません。家族みんなが内容を理解し、いざという時に同じ意識で行動できるように共有することが非常に大切です。
- 家族会議を開く: 防災について話し合う時間を定期的に持ちます。堅苦しくせず、「〇〇君(ちゃん)がもしお家に一人でいる時に地震が来たらどうする?」のように、具体的な状況を想定して話し合うと分かりやすいです。
- 計画を「見える化」する: 避難場所や連絡方法、備蓄品の場所などを書き出した「わが家の防災メモ」を作成し、冷蔵庫など家族みんなが見る場所に貼っておくのがおすすめです。子供にも分かるようにイラストを入れたり、一緒に作成したりするのも良いでしょう。
- 子供と一緒に学ぶ・準備する: 防災絵本を読んだり、防災グッズを一緒に詰めたり、安全な場所を確認する「お家探検」をしたりと、ゲーム感覚で子供と一緒に防災に取り組むことで、子供の理解を深め、不安を和らげることができます。
- 参考:小さな子供とも無理なく!家族みんなで取り組む防災訓練のヒント
ステップ5:定期的に計画を「見直し」ましょう
家族の状況は時間と共に変化します。子供の成長、家族構成の変化、引っ越し、地域の開発状況の変化など、さまざまな要因で必要な防災対策も変わってきます。そのため、防災計画は一度作ったら終わりではなく、定期的に見直すことが必要です。
- 見直しのタイミング:
- 年に一度(防災の日や家族の誕生日など、忘れにくい日にちを決める)
- 家族の状況に変化があった時(出産、進学、引っ越し、転職など)
- 地域の情報が更新された時(ハザードマップ改定など)
- 大きな災害が発生し、防災意識が高まった時
- 見直しのポイント:
- 連絡方法や集合場所は適切か?
- 備蓄品に期限切れはないか?(ローリングストックができているか確認)
- 子供の成長に合わせて必要なものは変わっていないか?(衣類、おむつ、ミルク、おもちゃ、学用品など)
- 避難所や避難ルートに変化はないか?
- 新しく確認したリスクはないか?
家族みんなで、防災計画という共通の目標に向かって、一歩ずつ準備を進めていくことが大切です。
まとめ
この記事では、子育て家庭が無理なく取り組めるわが家の防災計画の立て方と見直し方について、5つのステップでご紹介しました。
- わが家の「もしも」を想像してみましょう(リスクの把握)
- もしもの時の「行動目標」を決めましょう
- 具体的な「準備リスト」を作成・実行しましょう
- 家族みんなで計画を「共有」しましょう
- 定期的に計画を「見直し」ましょう
防災計画は、一度に完璧を目指す必要はありません。今日のステップ1から始めてみる、話し合いの時間を少し持つ、備蓄品を一つ買い足してみる…どんな小さな一歩でも、やらないよりはるかに良いです。
「時短」でできることもたくさんあります。買い物ついでに備蓄品を少し多めに買う、アプリを活用して情報を集める、子供と一緒に楽しみながら訓練をするなど、日々の生活の中に無理なく防災を取り入れていく工夫を見つけてみてください。
このガイドが、ご家族の安心につながる防災への取り組みのきっかけとなれば幸いです。