【家族で確認】わが家から避難所へ!安全な避難経路の見つけ方・歩き方
もしもの時、どう避難する?家族で歩いて確認する避難経路ガイド
毎日のお買い物や送り迎えなど、普段の生活の中で道に迷うことはほとんどないかもしれません。しかし、地震や台風などの災害が起きた時、いつも通っている道が通行できなくなったり、思わぬ危険が潜んでいたりする可能性があります。
特に小さなお子様がいらっしゃるご家庭では、「いざ避難!」となった時に、パニックにならず、安全に避難所へたどり着けるか不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
防災計画を立てる上で非常に重要でありながら、意外と後回しになりがちなのが、「自宅から避難所までの具体的な避難経路を確認しておくこと」です。
この記事では、忙しい子育て世代の皆様が、無理なく、そして家族みんなで一緒に、わが家から避難所までの安全な避難経路を見つけ、実際に歩いて確認するためのステップをご紹介します。いざという時に慌てないために、今できることから始めてみませんか。
なぜ避難経路の確認が大切なのでしょうか?
災害発生時、避難所への移動は、家族の安全を確保するための重要な行動です。しかし、普段とは状況が大きく異なり、様々な危険が伴う可能性があります。
- 危険箇所を避けるため: 地震による建物の倒壊、ブロック塀の倒壊、電柱や電線の落下、浸水、がけ崩れなど、災害の種類によって道の危険箇所は異なります。事前に危険な場所を把握しておけば、それらの場所を避けた安全なルートを選ぶことができます。
- 避難時間を予測するため: 災害発生からの時間は、適切な行動を取る上で非常に重要です。事前に実際に歩いてみることで、おおよその避難にかかる時間を把握できます。特に小さなお子様連れの場合、休憩時間なども考慮する必要があるため、時間の感覚をつかんでおくことは安心につながります。
- パニックを防ぐため: 避難が必要になった時、多くの人が不安や焦りを感じます。事前に避難経路を家族で共有し、イメージできていれば、いざという時に冷静に行動しやすくなります。「この道を行けば大丈夫」という共通認識があるだけで、心理的な負担が軽減されます。
- 家族で協力して避難するため: 避難経路を一緒に確認する過程で、家族それぞれの役割や、気を付けるべきことを話し合うことができます。お子様にも「この道のここが危ないね」「もし何かあったらここに来ようね」などと伝えることで、防災意識を高める機会にもなります。
家族で一緒に!わが家の安全な避難経路を確認するステップ
それでは、具体的にどのように避難経路を確認すれば良いか、ステップ形式で見ていきましょう。
ステップ1:自宅と指定避難所を確認する
まずは、ご自宅の場所と、お住まいの自治体が指定している避難所(指定緊急避難場所や指定避難所)の場所を正確に確認しましょう。
- 自治体のウェブサイトや防災マップ: ほとんどの自治体は、公式ウェブサイトで避難所リストや防災マップ(ハザードマップ)を公開しています。自宅から一番近い、または想定される災害(地震、洪水など)の種類に応じた避難所を確認してください。
- ハザードマップの活用: お住まいの地域のハザードマップも必ず確認しましょう。自宅や避難所、そしてその間の経路に、浸水リスクの高い場所、土砂災害の危険がある場所、液状化しやすい場所などがないか確認できます。これにより、危険なエリアを避けたルートを検討するヒントが得られます。ハザードマップの見方については、当サイトの別記事「【はじめてでも安心】家族みんなで確認!地域のハザードマップを防災に活かす簡単ステップ」も参考にしてください。
ステップ2:複数の避難経路を検討する
避難経路は、一つだけではなく、複数のルートを検討しておくことをお勧めします。なぜなら、災害の状況によっては、普段使っている道が通行不能になる可能性があるからです。
- 最短ルート: まずは、自宅から指定避難所までの最短と思われるルートを確認します。
- 代替ルート: 次に、最短ルートが使えない場合に備え、別のルートを1つか2つ検討します。例えば、メインの道路がだめなら、一本裏の道を使う、川沿いの道が危ないなら山側の道を選ぶ、などです。
- 様々な状況を想定: 地震で建物が倒壊した場合、洪水で浸水した場合など、想定される災害の種類によって危険箇所は異なります。ハザードマップで確認した情報をもとに、それぞれの災害を想定した代替ルートを考えてみましょう。
ステップ3:地図上で危険箇所を確認する
選定した複数のルートについて、地図上で詳細な危険箇所を確認します。ハザードマップの情報と、普段の生活で知っている地域の情報を組み合わせましょう。
- 避けるべき場所の例:
- 老朽化した建物や塀が多い道
- 電柱や電線が多い、または複雑に入り組んでいる道
- 川沿いや水路のそば(洪水、冠水リスク)
- がけや斜面の近く(土砂災害リスク)
- 道幅が狭く、多くの人が避難する際に混雑が予想される道
- 大きな交差点や橋(混乱しやすい、構造物の損壊リスク)
- 冠水しやすいアンダーパスなど
これらの危険箇所を避けられるルートを優先的に選びましょう。
ステップ4:家族で実際に歩いてみる
地図上での確認だけでなく、実際に家族で避難経路を歩いてみることが最も重要です。可能であれば、想定される災害が発生しやすい時期や時間帯(例:台風シーズンに雨の中を歩く、通勤・通学時間帯に歩く)に試してみるのも良いでしょう。
- 歩く際のポイント:
- 子供のペースで: 小さなお子様連れの場合、大人の思うようには進めません。お子様のペースに合わせて、休憩を取りながら歩きましょう。ベビーカーや抱っこ紐を使う場合の道の状態(段差、坂道など)も確認します。
- 危険箇所を実際に見て確認: 地図上で確認した危険箇所を、実際にその目で見て確認します。「ここの塀は古そうだね」「この道は雨が降ると水が溜まりやすいね」など、具体的な状況を家族で共有します。
- 避難所までかかる時間を計る: 実際に歩いてみて、避難所までどれくらいの時間がかかるかを計ります。これは、避難準備の開始時間などを考える上で貴重な情報になります。
- 声かけと確認: 歩きながら、お子様に「もし地震が起きたら、ここにあるものに気を付けようね」「この道は車が多いから、端を歩こうね」などと具体的に話しかけ、安全な行動を促します。また、「もし途中でバラバラになったら、どこで待っていようか?」といった話をするのも良いでしょう。
ステップ5:家族で情報を共有し、記録する
実際に歩いて確認した情報を、家族全員で共有し、記録しておきましょう。
- 避難カードやリスト: 確認した避難経路、危険箇所、避難にかかる時間などを、分かりやすくまとめたリストや簡単な地図を作成します。冷蔵庫に貼る、家族それぞれの防災リュックに入れておく、スマートフォンのメモ機能で共有するなど、すぐに確認できる場所に保管しておきましょう。
- 家族間の話し合い: 実際に歩いた感想や気づきを話し合います。「意外と時間がかかったね」「この道は夜だと暗くて危ないかもしれないね」など、具体的な経験に基づいた話し合いは、より実践的な避難計画に繋がります。
- 代替経路も記録: 最短経路だけでなく、検討した代替経路についても同様に記録しておきましょう。
子連れでの避難経路確認、ここがポイント!
小さなお子様と一緒に避難経路を確認する際には、いくつか特別な配慮が必要です。
- 無理のない計画: 一度に全てのルートを確認しようとせず、お子様の体力や機嫌に合わせて短い距離から始めたり、数日に分けたりしましょう。あくまで「防災のための取り組み」であり、楽しい家族の時間にすることが大切です。
- 持ち物のシミュレーション: もしもの時、抱っこ紐を使ったり、お子様を抱っこしたりしながら荷物を持って歩くことを想定します。実際に防災リュックの一部を背負ってみるなどして、歩きやすさや必要な休憩について考えてみましょう。
- 子供向けの伝え方: 災害の恐ろしさを必要以上に強調するのではなく、「この道はもしもの時に安全に行けるかな?探検してみよう!」「どこに危ないものがあるか、一緒に見つけてみよう!」など、ゲーム感覚で楽しく取り組めるように工夫します。
- 安全第一: 実際に歩く際も、交通安全などに十分注意し、あくまで安全な範囲で行いましょう。
避難経路以外に家族で話し合っておくべきこと
避難経路の確認と合わせて、災害発生時に家族が安全に再会し、安否を確認するために、以下の点も家族で話し合っておくことをお勧めします。
- 災害発生時の連絡方法: 電話が繋がりにくい状況を想定し、災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板(web171)、SNSの安否確認機能、家族間での安否確認ルール(例:「無事なら〇〇にメールを入れる」)などを決めておきましょう。
- 家族間の集合場所: 離れ離れになっている場合に備え、一時的に集合する場所(例:近所の公園、コンビニ、親戚の家など)をいくつか決めておきましょう。自宅が被災して使えない場合の集合場所と、自宅が無事な場合の集合場所を分けて考えておくことも有効です。
- 緊急時の連絡先リスト: 家族の携帯電話番号、実家や親戚の連絡先、勤務先、子供の学校や保育園・幼稚園の連絡先などをリストにして、避難カードと一緒に持ち歩けるようにしておきましょう。
- 子供との約束: 子供には、もし保護者と離れてしまった場合の約束事(例:「その場を離れないで助けを待つ」「近くの大人に助けを求める」「名前と親の連絡先を言えるようにしておく」)を繰り返し教えておきましょう。
これらの点については、当サイトの別記事「【実践】家族で決める!災害時の連絡方法・安否確認・集合場所ガイド」なども参考に、ご家族で話し合ってみてください。
まとめ:無理なく、わが家らしい避難計画を
自宅から避難所までの避難経路の確認は、防災計画の中でも特に「実践」に繋がる重要なステップです。一度確認すれば終わりではなく、家族の成長や、お住まいの地域の開発状況などに合わせて、定期的に見直し、実際に歩いて確認することをお勧めします。
「全部一度にやらなきゃ」と気負わず、まずは最寄りの避難所までのルートを地図で確認することから始めてみましょう。そして、お買い物の帰り道などに、お子様と一緒に少しずつ「探検」してみるのも良いかもしれません。
忙しい毎日の中でも、少しずつ、できることから。わが家らしい、無理のないペースで防災に取り組んでいくことが、家族みんなの安心につながります。この記事が、その一助となれば幸いです。