【実践】家族で決める!災害時の連絡方法・安否確認・集合場所ガイド
忙しい毎日でも家族の安全を第一に考えるために
日々の家事育児、お仕事と、本当に目まぐるしい毎日をお過ごしのことと思います。そんな中でも、ふと頭をよぎるのが、もしもの時の家族のことではないでしょうか。特に、地震などの災害が発生した時、家族が離ればなれになっていたら、どうやって連絡を取り、無事を確認すれば良いのか…考え出すと不安になるかもしれません。
「防災対策は大切だと分かっているけれど、何から手をつければ良いか分からない」「子供が小さいから、一緒にどう取り組めば良いの?」「忙しくてなかなか時間が取れない」と感じている方もいらっしゃると思います。
この記事では、そんな子育て世代のご家族に向けて、災害が発生した際に家族が無事であることを確認し、再会するための具体的な方法と、事前に話し合って決めておくべき約束ごとについて、分かりやすく解説します。特別な時間を作るのが難しくても、家族で少しずつ話し合って備えるためのヒントが見つかるはずです。
なぜ、家族で連絡方法や集合場所を決めておく必要があるのか
大規模な災害が発生すると、電話回線が混み合い、通常の音声通話がつながりにくくなることが想定されます。また、家族がそれぞれ職場や学校、外出先など、バラバラの場所にいる可能性も十分にあります。
このような状況で、事前に何も決めていないと、お互いの安否が分からず、不安な時間を過ごすことになってしまいます。どこで会えるか分からないまま、安易に危険な場所に探しに行ってしまうリスクも生まれます。
家族で事前に「誰と、どのように連絡を取り合うか」「お互いの無事を確認する方法」「どこで落ち合うか」を決めておくことは、もしもの時のパニックを避け、冷静に行動するために非常に重要です。これは、家族全員の命を守るための大切な約束ごとになります。
家族で話し合うべき3つの基本事項
まずは、ご家族で次の3つの基本事項について話し合い、決めておくことをお勧めします。一度にすべてを決める必要はありません。まずは一つずつ、話し合えることから始めてみましょう。
1. 災害時の連絡方法を決める
災害時は電話がつながりにくいという特性を踏まえ、複数の連絡手段を検討しておくことが大切です。
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災害用伝言ダイヤル(171)を活用する
固定電話や携帯電話から「171」に電話をかけ、音声案内に従って伝言の録音・再生ができます。
- 録音する場合: 171 → 1 → 自宅の電話番号または携帯電話番号 → 伝言を録音
- 再生する場合: 171 → 2 → 自宅の電話番号または携帯電話番号 → 伝言を再生
被災地内・外を問わず利用できます。毎月1日や15日、お正月三が日などに体験利用ができますので、一度試しておくと安心です。
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災害用伝言板(web171)を利用する
インターネットを使って、メッセージの登録や確認ができます。スマートフォンやパソコンから利用できます。
- 登録する場合: web171にアクセス → 自宅の電話番号または携帯電話番号を入力 → 伝言(テキスト形式)を登録
- 確認する場合: web171にアクセス → 自宅の電話番号または携帯電話番号を入力 → 登録された伝言を確認
文字でやり取りできるため、音声が聞き取りにくい状況でも利用しやすいのが特徴です。こちらも体験利用が可能です。
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携帯電話会社の災害用伝言板サービス
各携帯電話会社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルなど)も、独自の災害用伝言板サービスを提供しています。スマートフォンの専用アプリやウェブサイトから利用できます。お使いの携帯電話会社のサービスを確認しておきましょう。MVNO(格安SIM)をご利用の場合は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクのいずれかの回線を利用している場合、そのキャリアの災害用伝言板が利用できることが多いですが、事前に確認しておくことをお勧めします。
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SNSやメッセージアプリを利用する
TwitterやFacebookなどのSNS、LINEなどのメッセージアプリも、災害時の情報収集や安否確認に役立ちます。テキストメッセージは音声通話よりもつながりやすい傾向があります。
- LINEの「安否確認」機能: 災害発生時にLINEアプリに表示される機能で、自分の安否状況(無事です、被害ありなど)を登録・共有できます。
- SNSでの発信: 「#無事です」「#〇〇(地名)」などのハッシュタグをつけて安否情報を発信すると、情報が伝わりやすくなります。ただし、デマや不確かな情報も拡散されやすいため、情報の発信・取得には注意が必要です。
- 事前に家族間で「無事の合図」を決めておく: 例として、SNSで特定の絵文字だけを投稿したら「無事」とする、メッセージアプリで特定のスタンプを送る、などが考えられます。
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連絡が取れない場合のルールを決めておく
すべての連絡手段が使えない、または連絡がつかない状態が続く場合、どうするかを決めておきます。「〇時間連絡が取れなければ、△△の場所に移動する」「お互い無理に連絡を取ろうとせず、安全な場所で待機する」など、想定される状況に合わせてルールを話し合いましょう。
2. お互いの安否確認方法を決める
連絡手段と合わせて、お互いの無事をどのように確認するか具体的な方法も決めておきます。
- 共通の合言葉やサイン: 上記のSNSでの「無事の合図」などもこれにあたります。電話やメッセージで連絡が取れた際に、事前に決めた合言葉や共通の質問をすることで、本当に本人かどうか、または安全な状況にあるかなどを確認できます。
- 知人や親戚宅を経由した連絡: 遠方にいる親戚などを「リレー方式」での連絡先として決めておく方法です。被災地では通信が困難でも、遠方であればつながりやすい場合があります。
- 子供との安否確認: 小さなお子さんには、連絡方法だけでなく、「もし先生やお友達とはぐれたら、どこで待つか」「大人の人に助けを求めるときの合言葉」などを具体的に教えておくことも重要です。子供用GPS端末やキッズケータイを持たせることも有効な手段です。
3. 家族の集合場所を決める
家族が離ればなれになった場合、どこで再会するかを事前に決めておくことが非常に大切です。
- 一次集合場所: 自宅が無事な場合は自宅、または自宅近くの安全な場所(公園、広い駐車場など)。「家の前の大きなくすのきの下」「近所の〇〇公園のブランコの前」など、子供にも分かりやすい具体的な場所が良いでしょう。
- 二次集合場所: 自宅が被災して帰宅できない場合や、より広範囲の災害の場合を想定し、指定避難所や広域避難場所、または遠方の親戚宅などを決めておきます。
- 複数の候補を決めておく: 想定される災害の種類(地震、水害など)や、自宅からの距離に応じて、複数の集合場所候補を決めておくのが理想的です。
- 地図で確認し、家族で共有する: 決めた場所を地図で確認し、実際に家族と一緒に歩いてみる、写真を撮っておくなどして、全員が場所を把握できるようにします。特に子供には、「もしもの時は、まずここに集まろうね」と繰り返し伝えておきましょう。
子供と一緒に確認・練習する方法
家族で決めた連絡方法や集合場所は、大人だけでなく子供も理解している必要があります。難しく考えず、遊びや日々の会話の中で自然に確認・練習できる工夫をしましょう。
- 絵やイラストで説明する: 災害用伝言ダイヤルの使い方、集合場所への経路などを、子供向けの絵やイラストで描き起こしてみましょう。
- 防災ごっこ・避難訓練に取り入れる: 家庭での避難訓練や、学校・地域での防災訓練に参加する際に、家族の連絡方法や集合場所を確認するシミュレーションをしてみましょう。「もしバラバラになったら、お父さんとお母さんは171でメッセージを残すから、〇〇ちゃんは web171 を見てみてね」など、具体的に役割分担を想定した練習も有効です。
- 公衆電話の使い方を教える: スマートフォンが使えなくなった場合、公衆電話が有効な連絡手段となることがあります。テレホンカードや10円硬貨を数枚、防災ポーチに入れておき、使い方を教えておくと安心です。
定期的に見直すことの重要性
家族の状況は変化します。お子さんの成長、引っ越し、家族構成の変化などに応じて、決めておいた連絡方法や集合場所が現状に合っているか、定期的に見直す機会を持ちましょう。
- 年に一度、家族会議を開く: 防災の日(9月1日)や、家族の誕生日など、特定の日に合わせて「防災会議」を開く習慣をつけるのがお勧めです。
- 連絡先リストの更新: 家族や親戚の連絡先リストを作成し、全員がアクセスできる場所(冷蔵庫に貼る、共有のクラウドストレージに入れるなど)に置いておきましょう。
- 備蓄品リストとの連携: 災害時に持ち出す非常用持ち出し袋の中に、家族の連絡先リストや集合場所の地図を入れておくなど、他の防災準備と連携させることも大切です。
まとめ:できることから一歩ずつ、家族で備えを
災害時の家族の連絡方法や安否確認、集合場所を決めておくことは、家族の安全を守るための非常に重要なステップです。日々の忙しさの中で、「いつかやろう」と思っている方も多いかもしれませんが、もしもの時は突然やってきます。
完璧を目指す必要はありません。まずは、この記事でご紹介した「3つの基本事項」の中から、一つでも良いので、家族で話し合ってみるところから始めてみませんか。お子さんと一緒に地図を見ながら集合場所を確認したり、災害用伝言ダイヤルの体験利用をしてみたり。楽しみながら防災に取り組むことも可能です。
家族みんなで話し合い、いざという時の約束ごとを決めておくことが、何よりの安心につながります。この情報が、皆さまの家族の防災計画の一助となれば幸いです。