【年齢別】遊びながら学ぶ!子どもの防災教育の始め方・進め方
忙しい毎日でも始められる、子どもの防災教育
子育て中の皆様は、毎日お子様のお世話や家事に仕事にと、本当に忙しい日々を送っていらっしゃることと思います。そんな中で、「防災」と聞くと、つい後回しにしてしまいがちかもしれません。「いつかやらなきゃ」とは思いつつも、「何から始めればいいの?」「子どもにどう教えればいいの?」と悩んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、万が一の災害が起きた時、お子様自身が自分の身を守るための知識や行動を少しでも知っていることは、家族の安全にとって非常に重要です。防災教育は、決して難しい訓練ばかりではありません。お子様の成長段階に合わせて、遊びや絵本などを通して、楽しく、無理なく始めることができるのです。
この記事では、子どもの年齢に応じた防災教育の具体的な進め方と、家庭で簡単に取り入れられるアイデアをご紹介します。お子様と一緒に、楽しみながら防災について学び、家族みんなの安全につながる一歩を踏み出してみましょう。
なぜ子どもの防災教育が大切なのでしょうか
災害は、いつ、どこで起きるか予測ができません。地震、台風、洪水など、様々な種類の災害があります。大人は情報を得て状況を判断し、行動することができますが、子どもは一人で判断したり、安全な場所へ避難したりすることが難しい場合があります。
だからこそ、日頃から防災について一緒に学び、もしもの時にどうすれば良いかを知っておくことが大切になります。
- 自分の身を守る力を育む: 地震の時の「ダンゴムシポーズ」など、具体的な行動を知っていれば、とっさの時に安全な姿勢をとることができます。
- パニックを軽減する: 災害が発生しても、「以前に習ったことだ」と思えれば、過度なパニックを防ぎ、落ち着いて行動しやすくなります。
- 家族で助け合う: 防災について一緒に話し合うことで、家族がお互いを思いやり、助け合う意識が育まれます。
- 地域の安全にもつながる: 子どもたちが防災知識を持つことは、地域の防災力向上にもつながります。
子どもの年齢別に見る防災教育のステップ
子どもの理解力や発達段階に合わせて、防災の教え方も変えていく必要があります。ここでは、年齢別に適した防災教育のポイントをご紹介します。
1. 幼児期(0〜5歳頃):安全な場所を知り、怖がらずに慣れる
この時期は、難しい知識を教えるのではなく、災害への漠然とした恐怖心を和らげ、安全な場所や行動に慣れることが目標です。
- 絵本や歌を活用する: 地震や避難をテーマにした子ども向けの絵本や歌はたくさんあります。絵を見ながら一緒に歌ったり、読み聞かせをしたりすることで、楽しみながら防災に触れることができます。
- 遊びの中で取り入れる:
- 「地震だよ、ダンゴムシポーズ!」と声をかけ、体を丸める遊びをする。
- 「安全な場所はどこかな?」と問いかけ、机の下などに隠れる遊びをする。
- ぬいぐるみを使って「ごっこ遊び」をする中で、安全な場所に移動する練習をする。
- 家族で落ち着いて話す: 災害について過度に怖い言葉を使わず、「揺れたらここに入ろうね」「大きな音がしたらママと一緒だよ」など、安心させる言葉で伝えます。
- 避難場所を一緒に見る: 散歩のついでに、地域の避難所になっている公園や建物を見て、「ここが〇〇ちゃんの町の避難所だよ」と教えてあげます。
2. 小学校低学年(6〜8歳頃):具体的な行動とルールを学ぶ
小学校に入ると、具体的な指示やルールを理解できるようになります。自分で考え、行動する基礎を身につける時期です。
- 学校の避難訓練について話す: 学校で行われる避難訓練は、子どもにとって最も身近な防災学習です。「どんな練習をしたの?」「どうやって逃げるの?」など、興味を持って話を聞いてあげましょう。
- 家庭での避難訓練ごっこ:
- 地震発生を想定し、「揺れがおさまったら、火を消して、玄関を開けて、外へ逃げる練習をしよう」など、簡単な手順を決めて練習します。
- 防災リュックを背負ってみる、笛を吹いてみるなどの体験も有効です。
- ハザードマップを一緒に見る: 自治体から配布されるハザードマップを広げ、自宅や学校、よく行く場所がどんな災害のリスクがあるか(洪水浸水想定区域など)を一緒に見て、「ここはお水が来るかもしれない場所だよ」「こっちの高い場所へ逃げようね」など、分かりやすく説明します。
- 非常持ち出し品を準備する: 自分の防災リュックに、好きな本やおもちゃ、お菓子などを少し入れてみましょう。自分のものを準備することで、防災への関心を持つことができます。
- 災害時の連絡方法を確認する: 「もしバラバラになったら、どこで会おうか」「誰に電話する?」「キッズケータイはどう使う?」など、具体的な状況を想定して話し合います。
3. 小学校中学年〜高学年(9〜12歳頃):自分で考え、判断する力を育む
物事を論理的に考えられるようになり、自分で情報を収集したり、判断したりする基礎を身につける時期です。家族の一員として、防災について一緒に考えることができるようになります。
- 様々な災害について学ぶ: 地震だけでなく、台風、洪水、土砂災害など、様々な災害の特徴や、それぞれに合わせた対策について学びます。ニュースや天気予報に関心を持つように促すのも良いでしょう。
- 避難の判断について話し合う: 「どんな状況になったら避難が必要だと思う?」「避難勧告が出たらどうする?」など、自分で考えさせる問いかけをします。
- 災害時の連絡方法をより具体的に決める: 家族の待ち合わせ場所、安否確認の方法(災害用伝言ダイヤル、SNSなど)を具体的に決め、連絡先リストを作成します。公衆電話の使い方なども知っておくと役立ちます。
- 家庭の備蓄品リスト作成に参加する: 「わが家には何日分の食料が必要かな?」「他にどんなものが必要?」など、一緒にリストを確認したり、買い物に付き合ったりすることで、備蓄の重要性を学びます。
- 地域の危険箇所や避難経路を詳しく調べる: ハザードマップを見ながら、自宅周辺の危険な場所(倒壊しやすい塀、古い建物、川沿いなど)や、複数の避難経路を一緒に確認します。
家庭でできる実践的なステップ
忙しい毎日の中でも、これならできる!という簡単なステップをご紹介します。
ステップ1:家族で「いつ、何を教えるか」を話し合う
特別な時間を設けなくても構いません。夕食時や寝る前など、少しの時間で良いので、「今月は地震の時の姿勢を練習してみようか」「来月は非常食を一つ食べてみようか」など、家族で目標を共有しましょう。
ステップ2:年齢に合った教材やツールを選ぶ
インターネットで検索すると、自治体や企業のウェブサイトに、子ども向けの防災コンテンツがたくさんあります。絵本、動画、ゲーム感覚で学べるアプリなどを活用するのも良い方法です。
ステップ3:遊びや日常会話に自然に取り入れる
「このお菓子は、もしもご飯が食べられなくなった時に食べる非常食だよ」「強い風が吹いてきたね。窓のそばは危ないから離れようね」など、日常生活の中で防災に関する声かけを意識してみましょう。
ステップ4:家族みんなで一緒に実践する
「ママもパパも一緒にダンゴムシポーズだよ」「家族みんなで防災リュックの中身を確認しよう」など、子どもだけではなく、大人も一緒に楽しみながら取り組むことで、子どもは安心感を持ち、積極的に参加してくれます。
ステップ5:定期的に見直す
一度教えたら終わりではなく、子どもの成長に合わせて、また季節や災害のニュースなどをきっかけに、繰り返し学ぶことが大切です。年に一度は家族で防災について話し合う日を設けるのも良いアイデアです。
おすすめの防災学習ツール・リソース
- 自治体の防災情報サイト: お住まいの地域の災害リスクや避難場所の情報、子ども向け防災コンテンツなどが掲載されています。
- 内閣府防災情報のページ: 国の防災に関する基本的な情報や、子ども向けの啓発資料などがあります。
- 消防庁: 子ども向けの防災に関する資料やイベント情報などがあります。
- 防災科学技術研究所: 災害に関する科学的な情報や、体験施設の紹介などがあります。
- 防災をテーマにした絵本: 様々な出版社から、子ども向けの防災絵本が出版されています。「地震のえほん」「たいふうがくるぞ」など、図書室や書店で探してみましょう。
- 子ども向け防災アプリ: ゲーム感覚で防災知識を学べるアプリや、家族の位置情報を共有できるアプリなどがあります。
まとめ
子どもの防災教育は、一度にすべてを詰め込む必要はありません。お子様の成長や興味に合わせて、楽しみながら、少しずつ進めていくことが大切です。絵本を読んだり、一緒に遊びをしたり、日常会話の中で触れたりするだけでも、お子様の防災への関心や知識は確実に育まれていきます。
そして、何よりも大切なのは、ご家族が一緒に防災について考え、話し合う時間を持つことです。お互いを思いやり、助け合う気持ちを育むことこそが、災害に強い家族を作る土台となります。
この記事が、皆様のご家庭で防災について話し合い、実践するきっかけとなれば幸いです。ご家族の安全を願っています。