小さな子供とも無理なく!家族みんなで取り組む防災訓練のヒント
忙しい毎日でも大丈夫。家族みんなで防災力を育むために
子育て中の日々は、お子様の成長を見守る喜びと共に、たくさんのやることリストであっという間に過ぎていきますね。食事の準備、お洗濯、寝かしつけ…考えることは山積みです。そんな忙しい中で、「防災」となると、どこから手をつけて良いのか、時間がないとつい後回しにしてしまいがちかもしれません。
でも、災害は予告なくやってきます。その時に、ご家族、特にお子様が安全に過ごせるように、日頃から準備をしておくことはとても大切です。特に小さなお子様は、突然の揺れや大きな音、非日常の状況にパニックになってしまうことも考えられます。
そこでこの記事では、忙しい毎日の中でも、小さな子供と一緒に無理なく、そして楽しく取り組める具体的な防災訓練のアイデアをご紹介します。遊びの要素を取り入れたり、短い時間でできたりする工夫を通して、ご家族みんなで防災力を育んでいきましょう。
なぜ子供と一緒に防災訓練をする必要があるのでしょうか
子供と一緒に防災訓練をすることは、いくつかの大切な目的があります。
- 子供自身の安全確保能力を高める: 災害時に「どうすれば自分の身を守れるか」を知っていることで、とっさの判断や行動ができるようになります。
- パニックを軽減する: 何度か練習したことがある状況であれば、全く初めての状況よりも落ち着いて行動しやすくなります。
- 家族の連携を強化する: 家族で一緒に訓練することで、災害時の役割や行動を確認し、いざという時にスムーズに連携できるようになります。
- 防災意識を高める: 訓練を通して、防災が自分たちの生活と関わる大切なことだと認識し、日頃から意識するきっかけになります。
難しい訓練をする必要はありません。まずは「もしも」の時に、家族みんなが少しでも安全に行動できることを目指して、気軽に取り組んでみましょう。
小さな子供と楽しく取り組むための基本のヒント
本格的な訓練の前に、子供と一緒に取り組む上での大切なポイントをいくつかご紹介します。
- 遊びやゲームの要素を取り入れる: 「訓練」と聞くと身構えてしまう子供も、ゲーム感覚なら楽しく取り組めます。
- 短い時間で繰り返し行う: 長時間集中するのは難しいので、1回あたり5分〜10分程度の短い時間で、思い出した時に繰り返し行うのが効果的です。
- 褒めて肯定的に: うまくできたらたくさん褒めてあげてください。「すごいね!」「よくできたね!」といった声かけが、子供のやる気につながります。
- 「もしも」の状況を具体的に伝える: 絵本やイラストを使ったり、「もし地震が来たら、おもちゃを片付けてここに隠れようね」のように、子供が理解できる言葉で具体的に伝えましょう。
- 無理強いしない: 子供の気分が乗らない時は日を改めるなど、無理強いは禁物です。楽しくないと感じると、防災そのものに苦手意識を持ってしまう可能性があります。
これらのヒントを参考に、ご家庭に合った方法で進めてみてください。
【今日からできる】家族でわいわい!子供と楽しく取り組む防災訓練アイデア集
それでは、具体的な訓練アイデアをいくつかご紹介します。
アイデア1:地震から身を守る「ダンゴムシポーズ」練習
地震の揺れを感じたら、まずは安全な場所に隠れることが大切です。机の下などに潜り込み、頭を守る「ダンゴムシポーズ」を練習しましょう。
- やり方:
- お部屋のどこかに安全な場所(頑丈な机の下など)をいくつか決めます。
- 「地震だ!」の合図で、決めておいた安全な場所に素早く移動する練習をします。
- 安全な場所に移動したら、頭を両手で覆って丸くなる「ダンゴムシポーズ」をとります。
- クッションや座布団などを頭に乗せる練習も効果的です。
- 遊び方: 「地震だ!」の合図をランダムに出したり、鬼ごっこにしたり。「ダンゴムシポーズ」の速さを競うゲームにするのも良いかもしれません。家具が倒れてこない安全な場所を選ぶ練習も兼ねましょう。
アイデア2:おうち探検!避難経路を確認しよう
家の中のどこが安全で、どこが危ないかを知っておくことは重要です。また、火事などで玄関が使えない場合の避難経路も確認しておきましょう。
- やり方:
- 家族みんなで家の中を一緒に歩き、「ここは安全だね」「ここは窓ガラスがあるから危ないね」などと話し合いながら確認します。
- 「もし、このドアが開かなかったら、どこから外に出られるかな?」と一緒に考えて、別の脱出経路(窓など)を確認します。
- 非常口のマークを探すゲームなども効果的です。
- 遊び方: 家の中をコースに見立てた「防災探検ツアー」を企画します。途中に「ここは危ないポイントだよ」という印を置いたり、安全な場所でスタンプを押すゲームにしたり。お絵かきで家の地図を描いて、安全な場所や避難経路を書き込むのも楽しいでしょう。
アイデア3:宝探し!備蓄品を見つけてみよう
家庭で備蓄している非常食や水を、子供と一緒に確認する機会を持ちましょう。どこに何があるかを知っておくことは、いざという時に役立ちます。
- やり方:
- 備蓄している場所を子供に教えます。
- 「宝探しゲームだよ!非常食の〇〇はどこかな?」と言って、子供に探してもらいます。
- 見つけたら「すごい!〇〇を見つけたね!これはご飯がない時に食べるものなんだよ」などと説明します。
- 水の場所、懐中電灯の場所なども同じように探してもらいます。
- 遊び方: いくつかの備蓄品を隠しておき、ヒントを出しながら探してもらう宝探しにします。備蓄品リストを絵で描いて、見つけたものにチェックをつけていくのも楽しいでしょう。
アイデア4:もしもに備える!非常持ち出し袋準備ごっこ
災害時にすぐに持ち出せる非常持ち出し袋。中身を知って、どこにあるかを認識しておくことはとても重要です。
- やり方:
- ご家庭の非常持ち出し袋を子供に見せます。
- 袋の中身を一緒に確認します。「これはお水だよ」「これは暗い時に使うライトだよ」「これは絆創膏だよ」などと説明します。
- 子供用の非常持ち出し袋(お気に入りのおもちゃや絵本を入れたリュック)を一緒に準備するのも良いでしょう。
- 玄関など、すぐに持ち出せる場所に置いてあることを確認します。
- 遊び方: 子供用のリュックに、本物またはおもちゃの備蓄品(水筒、タオル、懐中電灯など)を入れて、「もし地震が来たら、このリュックを持って逃げようね!」と持ち出す練習をします。お気に入りのぬいぐるみにも非常用バッグを用意してあげるのも喜ばれるかもしれません。
アイデア5:家族の合言葉と連絡方法を確認しよう
災害時、家族がバラバラになってしまう可能性も考えられます。そんな時にどう連絡を取り合うか、事前に話し合っておくことは非常に大切です。
- やり方:
- 災害時に家族が離ればなれになった場合の集合場所を具体的に決めます。(例: 近所の公園の滑り台の前、小学校の体育館など)
- 安否確認の方法を決めます。(例: 〇〇おばあちゃんの家に連絡する、災害伝言ダイヤルを使う、特定のアプリを使うなど)
- 混乱した時にも分かりやすい「家族の合言葉」を決めておきます。(例: 好きな動物の名前、家族の誕生日など)
- これらの情報を、子供が理解できる言葉で繰り返し伝えます。
- 遊び方: 決めた集合場所まで一緒に行ってみるお散歩をします。家族の合言葉を使った簡単なクイズや伝言ゲームをします。「もし〇〇ちゃんが学校にいる時に地震が来たら、どこでパパとママに会えるかな?」のように、状況を想定した質問をしてみるのも良い練習になります。
訓練を継続するための小さな工夫
一度訓練しただけでは、いざという時に思い出せないこともあります。特別な日だけでなく、普段の生活の中で自然に防災を意識できる工夫を取り入れてみましょう。
- 絵本やアニメを活用する: 防災をテーマにした絵本やアニメはたくさんあります。これらを活用して、楽しみながら防災の知識を深めることができます。
- 天気予報と関連付ける: 台風予報が出たら、「明日は雨がたくさん降るかもしれないから、窓の外のものを片付けておこうね」など、身近な出来事と防災行動を結びつけて話します。
- 家族で防災会議を開く: 月に一度など、短い時間で「もしも」について話し合う機会を設けます。「最近何か気になることはある?」など、子供の視点での疑問や不安を聞いてみるのも大切です。
- 防災グッズをチェックする日を作る: 毎月1日など、特定の日に家族みんなで備蓄品の賞味期限や非常持ち出し袋の中身をチェックする習慣をつけます。これも「防災点検ごっこ」として楽しめます。
まとめ:無理なく、でも確実に。家族を守る一歩を
忙しい日々の中で、完璧な防災対策を目指すのは大変かもしれません。でも、ご紹介したように、小さなことから、遊びの要素を取り入れて取り組むことで、お子様と一緒に楽しく、無理なく防災への意識を高めることができます。
大切なのは、一度にすべてをやろうとしないことです。まずは「これならできそう」と思うアイデアを一つ選んで、今日の隙間時間に少しだけ取り組んでみてください。家族で一緒に考える時間、一緒に体を動かす時間そのものが、ご家族の絆を深め、いざという時の助け合いにつながります。
「わたしたちの防災計画室」では、こうした日々の取り組みをサポートするための情報やツールをご紹介しています。この記事が、ご家庭での防災計画を立てたり、見直したりするきっかけになれば嬉しいです。ご家族にとって最適な方法を見つけて、楽しみながら防災に取り組んでいきましょう。