【子育て家庭向け】もしもの時も安心!子連れで避難所生活を送るための準備と工夫
子育て中の皆様、日々の忙しい生活の中、お子様との時間も大切にしながら防災に取り組んでいらっしゃることと思います。
これまで、ご自宅での備蓄や避難場所の確認など、様々な防災対策についてお話ししてきましたが、もしもの時、自宅での生活が難しくなり、避難所へ身を寄せなければならなくなった場合、子育て家庭にとってはさらに多くの不安や大変さが伴うことが考えられます。
慣れない環境での集団生活は、大人でもストレスを感じやすいものです。小さなお子様であれば、さらに戸惑いや不安を感じやすく、体調を崩してしまう心配もあります。
しかし、事前に避難所での生活について少しでも知識を持ち、準備をしておくことで、いざという時の負担を軽減し、家族みんなが少しでも安心して過ごせるように備えることができます。
このコラムでは、子育て家庭が避難所生活を送る上で想定される課題を踏まえ、具体的な準備と、子どもと少しでも快適に過ごすための工夫についてご紹介いたします。
避難所での生活、子育て家庭が想定しておきたいこと
避難所は、自宅での生活が困難になった方々が一時的に身を寄せる場所です。学校の体育館や公民館などが指定されることが多く、多くの人が共に生活することになります。
子育て家庭の場合、特に以下のような点に注意が必要です。
- プライバシーの確保が難しい: 大勢の人が一緒に過ごすため、個人的なスペースやプライバシーがほとんどありません。
- 騒音: 様々な生活音、泣き声、話し声など、常に周囲の音が気になる場合があります。特に夜間は睡眠を妨げられる可能性があります。
- 衛生環境: 多くの人が利用するため、感染症のリスクが高まる可能性があります。手洗いや消毒などの衛生管理が重要になります。
- 食事: 提供される食事は、アレルギー対応や離乳食など、個別のニーズに必ずしも対応できるとは限りません。
- 子供のストレスとケア: 慣れない環境、集団生活、遊び場の不足などから、子どもが精神的なストレスを感じたり、体調を崩したりする可能性があります。
- 授乳やおむつ交換の場所: 個室や授乳スペースが限られている場合があります。
- 荷物: 必要最低限のスペースで過ごすため、多くの荷物を広げたり整理したりすることが難しい場合があります。
こうした課題を理解した上で、事前に備えておくことが、避難所生活を乗り切るための大切な一歩となります。
子連れ避難で役立つ!準備しておきたい持ち物リスト
通常の防災リュックに加え、避難所生活であると便利なもの、特に子育て家庭に特化した持ち物をご紹介します。これはあくまで一例です。ご家族の状況やお子様の年齢に合わせてリストを調整してください。
- プライベート空間確保グッズ:
- 簡易テントまたはアイマスク、耳栓: 狭いスペースでも視覚や聴覚を遮断し、落ち着ける空間を作り出すのに役立ちます。
- レジャーシートまたはブランケット: 個人のスペースに敷いたり、寒さ対策に使ったりできます。
- 衛生用品:
- ウェットティッシュ、除菌シート、携帯用ハンドソープ(水不要タイプ): 手洗いが十分にできない場合に重宝します。
- アルコール消毒液: 感染症対策に。
- 体を拭くシート、ドライシャンプー: お風呂に入れない場合に役立ちます。
- 生理用品、おむつ、おしりふき: 通常より多めに用意しておきましょう。紙おむつは圧縮袋に入れるとかさばりません。
- ビニール袋(多め): ゴミ袋、汚れた衣類入れ、エチケット袋など、様々な用途に使えます。
- 衣類:
- 着替え(普段より多め): 汚れやすいため、数日分あると安心です。下着、靴下も忘れずに。
- 防寒・体温調節できるもの: 薄手の毛布、ブランケット、羽織るものなど。体育館などは底冷えすることもあります。
- 食品・水分:
- 非常食(アレルギー対応のもの、子供が食べやすいもの): 提供される食事が合わない場合や、すぐに提供されない場合に備えます。
- 離乳食、粉ミルク、哺乳瓶、使い捨て哺乳瓶、ベビーフード: 月齢に合わせて必要な分を。
- おやつ、ジュース: 子供の気分転換やエネルギー補給に。
- 水筒、コップ: 繰り返し使えるものがあると便利です。
- 子供用品:
- お気に入りのおもちゃや絵本: 不安を和らげたり、時間をつぶしたりするのに役立ちます。かさばらないものが良いでしょう。
- 筆記用具、ノート、折り紙など: お絵かきや簡単な遊びに。
- 抱っこひも、ベビーカー: 小さな子供がいる場合に移動や寝かしつけに役立ちます。
- 母子手帳、健康保険証、お薬手帳(コピーでも可): 災害時にも医療情報がわかるようにしておきます。
- 常備薬、かかりつけ医の情報: 必須です。
- その他:
- モバイルバッテリー、充電器: スマートフォンは情報収集や連絡手段として重要です。
- ラジオ、予備電池: 最新情報を得るために。
- 懐中電灯、ヘッドライト: 夜間の移動やトイレなどで役立ちます。両手が使えるヘッドライトは便利です。
- マスク: 感染症対策だけでなく、埃っぽい場所やプライバシー確保にも。
- 常備薬、絆創膏、簡単な応急処置セット: 家族の健康管理に。
避難所生活を少しでも快適に過ごすための工夫
避難所での集団生活は、自宅とは勝手が違います。少しでも心穏やかに過ごすために、いくつかの工夫をご紹介します。
- プライベート空間を作る: 簡易テントや大きめの布などでスペースを囲むことで、視線や物音を遮り、家族だけの空間を確保できます。これは子供の安心感にも繋がります。
- 音対策をする: 耳栓やノイズキャンセリング機能付きのイヤホン・ヘッドホンを活用しましょう。周囲の音を気にしすぎず、落ち着いて過ごす助けになります。お子様には好きな音楽や読み聞かせを聞かせるのも良いでしょう。
- 衛生管理を徹底する: こまめな手洗い、アルコール消毒を心がけましょう。避難所のトイレや共有スペースを使う際も注意が必要です。携帯用の衛生用品を活用してください。
- 子供のケアを最優先に:
- 遊びや気分転換: 限られたスペースでもできる簡単な遊び(ジェスチャーゲーム、なぞなぞ、お絵かきなど)を取り入れたり、持参したおもちゃや絵本で遊ばせたりして、子供のストレス軽減を図ります。
- メンタルケア: 子供は環境の変化に敏感です。「大丈夫だよ」「一緒に頑張ろうね」など、安心させる言葉をかけ、できるだけそばにいてあげましょう。感情を言葉で表現させる練習をしたり、絵や文章で今の気持ちを記録させたりするのも良いかもしれません。
- 体調管理: 慣れない環境での体調不良に注意が必要です。水分補給をこまめに行い、寒暖差に気を配りましょう。少しでも体調の変化があれば、遠慮せず避難所のスタッフに相談してください。
- 避難所のルールを守る: 避難所には、共同生活を送る上でのルールがあります。喫煙場所、飲食スペース、消灯時間、ゴミの分別など、ルールを守ることで、他の避難者とのトラブルを防ぎ、みんなが気持ちよく過ごせるように協力しましょう。
- 情報を収集し、共有する: 避難所の掲示板やスタッフからの情報、ラジオやスマートフォンで得られる情報をこまめに確認しましょう。今後の支援情報や生活情報などを把握できます。家族間でも得た情報を共有し、状況を理解しておくことが大切です。
- 無理はしすぎない: 大人も子供も、災害による心身の疲労は大きいものです。できるだけ休息をとり、無理はしすぎないようにしましょう。困ったことや不安なことがあれば、遠慮なく周囲の人やスタッフに相談してください。
家族で事前に話し合っておきたいこと
避難所へ行くことになった場合を想定し、事前に家族で話し合っておくことも非常に有効です。
- 避難所の場所: 家族全員で、指定避難所の場所やそこまでの経路を確認しておきましょう。複数の避難所がある場合は、状況に応じてどこへ行くか、大まかにでも決めておくと良いかもしれません。
- 集合場所・連絡方法: もし家族が離ればなれになった場合の集合場所や連絡方法を再確認しておきましょう。災害用伝言ダイヤルや各種SNSの活用方法なども含めて話し合っておくと安心です。
- 避難所での役割分担: 避難所に着いてからの行動(受付、スペース確保、荷物整理など)や、生活が始まった後の役割(子供の世話、情報収集、炊き出しの手伝いなど)について、家族で話し合っておくのも良いでしょう。
- 避難所生活で困ること: 避難所での生活は決して楽ではありません。プライバシーがないこと、騒がしいこと、自由に過ごせないことなど、ある程度の不自由があることを家族で共有しておきます。「もしかしたら、こんなことで困るかもしれないね」と具体的に話すことで、心の準備ができます。
まとめ
子育て家庭にとって、避難所での生活は多くの課題を伴いますが、事前に想定し、少しでも準備をしておくことで、いざという時の混乱や負担を減らすことができます。
完璧な準備は難しいかもしれませんが、今回ご紹介した持ち物リストや過ごし方の工夫を参考に、ご家族の状況に合わせた備えを進めてみてください。最も大切なのは、家族みんなで話し合い、共に支え合いながら困難を乗り越えようという意識を持つことです。
日々の忙しさの中で、まとめて時間を取るのは難しいかもしれません。週末に少しずつ、あるいは買い物のついでに、できることから防災対策に取り組んでいきましょう。この情報が、皆様の防災計画の一助となれば幸いです。