【実践的】移動中も滞在先も安心!子育て家庭の旅行・帰省防災計画
旅行や帰省中の「もしも」に備える安心ガイド
春休みや夏休み、年末年始など、ご家族での旅行や帰省を楽しみにされている方も多いと思います。しかし、慣れない土地や移動中に災害が起きたら、と考えると不安を感じることもあるかもしれません。特に小さなお子様がいらっしゃるご家庭では、普段の備えだけでは足りるのか、どう行動すれば良いのか、気になりますよね。
このガイドでは、子育て中のご家族が旅行や帰省中も安心して過ごせるように、移動中や滞在先での「もしも」に備えるための具体的で実践的な計画をご紹介します。特別なことではなく、出発前のちょっとした準備や、現地での確認を少し意識するだけで、ぐっと安心感が増します。
旅行・帰省中に考えられるリスクを知っておく
旅行や帰省では、自宅にいる時とは異なる環境に身を置きます。そのため、自宅での防災対策に加えて、移動中や滞在先ならではのリスクを理解しておくことが大切です。
考えられる主なリスクとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 地震: 移動中の電車や車内、滞在先の建物、慣れない土地での避難など、様々な状況で地震に遭遇する可能性があります。
- 大雨・洪水・土砂災害: 旅行先や移動経路の気象状況によっては、これらの災害に巻き込まれるリスクがあります。特に山間部や川沿い、 coastal area などへの旅行時は注意が必要です。
- 公共交通機関の停止: 災害発生時には、電車や飛行機などの公共交通機関が長時間ストップし、移動手段が断たれる可能性があります。
- 道路の通行止め: 車での移動中に被災した場合、道路の損壊や混雑により目的地にたどり着けなくなることがあります。
- ライフラインの停止: 滞在先で電気、ガス、水道などが停止し、通常の生活ができなくなる可能性があります。
- 情報収集の困難: 慣れない土地では、地域の情報収集手段(ラジオ局、自治体の広報など)が分からず、正確な情報が得にくい場合があります。
これらのリスクを踏まえた上で、具体的な対策を考えていきましょう。
【実践ステップ1】出発前に確認・準備すること
旅行や帰省の準備で忙しいとは思いますが、出発前の少しの時間を防災準備に充てるだけで、現地での安心感が大きく変わります。
1. 旅先・滞在先の災害リスクと避難情報を調べる
まずは、目的地とその周辺地域の災害リスクを確認しましょう。 * ハザードマップの確認: 滞在先の自治体のウェブサイトで、地震時の揺れやすさマップ、洪水ハザードマップ、土砂災害ハザードマップなどを確認します。宿泊施設や実家の場所が、どのような災害リスクのあるエリアにあるのかを知っておくことが重要です。 * 指定緊急避難場所・指定避難所の場所: 滞在先で災害が発生した場合に、どこへ避難すれば良いかを確認しておきます。宿泊施設のスタッフや実家の方に聞くのも良い方法です。子供と一緒にマップを見て「このマークの場所に行こうね」と話すのも良いでしょう。 * 地域の災害特性: 過去にどのような災害が起きやすい地域なのか、地域の防災情報なども調べておくと参考になります。
2. 家族で情報共有・役割分担をする
旅行に行く家族と、事前に災害時の対応について話し合っておきましょう。 * 安否確認の方法: 災害時、家族が離れ離れになった場合の連絡方法や集合場所について決めておきます。携帯電話がつながりにくい場合の代替手段(SNSの安否確認機能、災害用伝言ダイヤルなど)も確認しておきましょう。 * 役割分担: もしもの時、誰が子供を連れて逃げるか、誰が貴重品を持つかなど、具体的な役割分担を決めておくと、いざという時にスムーズに行動できます。
3. 旅行用ミニ防災グッズを用意する
普段の防災リュックをそのまま旅行に持っていくのは大変です。旅行中、最低限必要なものを集めた「旅行用ミニ防災ポーチ(または小さめのバッグ)」を準備しましょう。 例: * 携帯しやすい非常食(お菓子やゼリーなど、子供が食べ慣れているもの) * 飲み水(ペットボトル) * ウェットティッシュ、除菌シート * ティッシュ * 小型の懐中電灯またはヘッドライト * 携帯バッテリー、充電ケーブル * 常備薬、絆創膏などの簡単な救急セット * 現金(小銭も含む) * 健康保険証・母子手帳のコピー、家族写真(迷子や離れ離れになった時用) * 子供用マスク、着替え(下着など最低限) * (必要な場合)おむつ、粉ミルク、離乳食など
これらをまとめておき、旅行カバンとは別の、すぐに持ち出せる場所にスタンバイしておきます。
4. 予約情報や連絡先をまとめておく
宿泊施設の予約情報、交通機関のチケット情報、旅行先の知人や親戚の連絡先などを一覧にして、家族全員が分かる場所に置いておくか、スマートフォンのメモ機能などを活用して共有しておくと便利です。
【実践ステップ2】移動中の対策
旅行中の移動中も、安全確保を意識することが大切です。
1. 最新の交通・気象情報を常に確認する
移動中は、テレビ、ラジオ、スマートフォンのニュースアプリなどで、常に最新の交通情報や気象情報を確認しましょう。予報が悪化している場合は、予定変更も検討に入れる勇気が必要です。
2. スマートフォンを活用する
- 災害情報アプリ: 滞在先の自治体などが提供している防災アプリや、全国的な災害情報アプリ(Yahoo!防災速報など)を事前にインストールしておきましょう。位置情報ONにしておけば、現在地周辺の災害情報を受信できます。
- オフラインマップ: Googleマップなどのオフラインマップ機能を活用すれば、電波がない場所でも現在地や周辺の地図を確認できます。
- 充電: 移動中も充電できるよう、携帯バッテリーは常に満タンにしておきましょう。
3. 車移動の場合の注意点
- 燃料は満タンに: 災害発生時、ガソリンスタンドが閉まることもあります。移動前には燃料を十分に確保しておきましょう。
- 緊急キット: 車内に、簡単な非常食、水、毛布、簡易トイレ、モバイルバッテリー、軍手などを積んでおくと安心です。
- 無理な運転をしない: 悪天候時や、強い揺れを感じた場合は、安全な場所に停車しましょう。
4. 電車・飛行機移動の場合の注意点
- 乗務員の指示に従う: 災害発生時は、乗務員の指示に必ず従ってください。
- 落ち着いて行動する: 車内や機内でパニックにならず、落ち着いて状況を判断しましょう。
- 情報収集: 可能な範囲で、スマートフォンのインターネットなどを活用して情報を収集します。
【実践ステップ3】滞在中の対策
滞在先に到着してからも、確認しておきたいことがあります。
1. 滞在場所の安全確認
宿泊施設や実家に着いたら、簡単な安全確認を行います。 * 避難経路・非常口: 建物内の避難経路、非常口、階段の位置を確認しておきましょう。宿泊施設の場合は、客室内の避難経路図を必ず確認します。子供と一緒に「火事になったらこっちの階段を使うんだよ」などと話しながら見て回るのも良いでしょう。 * 安全な場所: 揺れを感じた際にすぐに身を隠せる場所(丈夫なテーブルの下など)や、倒れてくる家具や窓ガラスから離れた場所を確認しておきます。 * 寝る場所: 寝室では、家具の配置を確認し、可能であれば倒れてきそうな家具から離れた場所に布団を敷くなどの工夫をします。
2. 現地での情報収集方法を確認する
滞在先の地域の情報収集手段を確認します。 * 自治体の広報手段: 滞在先の市町村がどのような手段で災害情報を発信するか(ウェブサイト、SNS、防災無線など)を確認しておきます。 * 地元のラジオ局: 災害時には地元のラジオ放送が重要な情報源となることがあります。周波数を事前に調べておくと良いでしょう。
3. 家族との連絡方法を再確認する
滞在先で、もし家族が別々の場所にいる時に災害が起きた場合の連絡方法や集合場所を、改めて家族で確認しておきましょう。
4. 最低限必要なものの現地調達
到着後、すぐに必要になりそうなもの(飲み物、子供のおやつなど)を近くのコンビニエンスストアなどで購入しておくと安心です。ローリングストックの考え方で、消費しながら補充できるものを選ぶと無駄がありません。
小さな子供と一緒に行う工夫
子供にとっても、慣れない場所での被災は大きな不安となります。旅行中も、子供と一緒に防災について考え、行動する機会を持つことが大切です。
- ゲーム感覚で避難場所探し: 「このマークの場所に、もしもの時にみんなで逃げるんだよ。どこにあるかな?」など、ゲーム感覚で避難場所や避難経路を探してみましょう。
- 持ち物準備を一緒に: 旅行用ミニ防災グッズを準備する際に、子供に「このお水は、もしもの時に飲むんだよ」などと説明しながら一緒に入れると、子供も防災に関心を持つきっかけになります。
- 絵本や動画を活用: 移動中や滞在中に、子供向けの防災に関する絵本を読んだり、動画を見たりするのも良い方法です。楽しんで学べるコンテンツを選びましょう。
まとめ
旅行や帰省は、ご家族にとって大切な時間です。事前の少しの準備と、現地での簡単な確認を行うだけで、ぐっと安心感が増し、より楽しい時間を過ごすことができるはずです。
完璧な備えを目指す必要はありません。まずは「旅先・滞在先のハザードマップを確認する」「旅行用ミニ防災グッズを用意する」「家族で連絡方法を共有する」といった、すぐにできることから始めてみてください。
これらの実践的なステップが、皆様の旅行・帰省中の安全・安心につながることを願っております。