【家族で確認】もしもの時、どこへ行く?わが家の地域の避難所を調べる・備えるステップ
忙しい毎日でも、もしもの時の「どこへ行く?」を家族で考える
子育てやお仕事で日々忙しく過ごされている中で、防災について考える時間はなかなか取れないかもしれません。でも、「もしも」の時に、どこに逃げれば良いのか、家族はどこに集まれば良いのか、という疑問が頭をよぎることもあるのではないでしょうか。
自宅での安全確保(在宅避難)は大切ですが、状況によっては自宅に留まることが難しくなる場合もあります。そのような時に命を守るために、地域の避難所を知っておくことは非常に重要です。
この記事では、お忙しい子育て家庭の皆様でも無理なく取り組めるよう、地域の避難所を確認する方法から、避難所での過ごし方について家族で考えておくべきポイントまで、具体的で実践的なステップをご紹介します。ぜひ、ご家族皆様で一緒にご確認いただければ幸いです。
なぜ避難所を知っておく必要があるのでしょうか?
地震や台風などの災害が起きたとき、自宅の倒壊や浸水、火災などの危険がある場合は、安全な場所に避難する必要があります。その「安全な場所」の一つが、自治体によって指定された避難所です。
避難所は、災害発生後に自宅に留まることが困難になった人々が、一時的に避難生活を送るための施設です。学校の体育館や公民館などが指定されていることが多く、自治体からの情報提供や支援物資の配布なども行われます。
地域の避難所を知っておくことは、いざという時に慌てず、家族みんなが安全に避難するための第一歩となります。
地域の避難所を確認する3つのステップ
まずは、お住まいの地域の避難所がどこにあるのかを確認することから始めましょう。スマートフォンやパソコンがあれば、自宅で簡単に調べることができます。
ステップ1:自治体のウェブサイトで情報を探す
お住まいの市区町村のウェブサイトには、防災情報が掲載されています。その中に「避難所」「避難場所」といった項目がありますので探してみてください。避難所のリストやマップが公開されていることがほとんどです。
- ポイント: 「指定緊急避難場所」と「指定避難所」という種類があります。
- 指定緊急避難場所: 災害発生時や発生のおそれがある場合に、身の安全を確保するために緊急的に避難する場所です。公園や広場、頑丈な建物などが指定されています。
- 指定避難所: 災害により自宅に戻れなくなった住民が、一定期間滞在し生活を送るための場所です。学校や公民館などが指定されています。 どちらも重要ですが、まずは自宅から近い「指定緊急避難場所」と、その後の避難生活を支える「指定避難所」を確認しましょう。
ステップ2:ハザードマップと合わせて確認する
多くの自治体は、地震の揺れやすさ、津波、洪水、土砂災害などのハザードマップも公開しています。避難所が、これらの危険区域の中に位置していないかを確認することも重要です。
例えば、洪水浸水想定区域内に指定されている避難所の場合、洪水発生時にはそこが安全な場所ではなくなる可能性があります。そのような場合は、浸水区域の外にある別の避難所や、建物の高層階への垂直避難などが推奨されます。
ハザードマップと避難所情報を重ね合わせて確認することで、より安全な避難先や避難経路を検討することができます。ハザードマップの見方については、ぜひ当サイトの別の記事もご参照ください。
ステップ3:家族で情報を共有し、リストを作る
調べた避難所の場所や種類(緊急避難場所か指定避難所か)、そして危険区域との関連について、ご家族皆様で共有しましょう。
- 自宅や学校、職場の近くにある避難所
- 災害の種類(地震、洪水など)に応じた避難先
- 複数の避難所を知っておくことの重要性(一つの避難所が被災する可能性もあるため)
といった点を話し合い、可能であれば、紙に書き出す、スマートフォンのメモに残すなどして、家族ですぐに確認できるリストを作っておくと安心です。
避難所までの「避難経路」を家族で考える
避難所の場所が分かったら、次に重要になるのが「どうやってそこまで行くか」という避難経路です。特に、小さなお子様がいる場合は、安全かつスムーズに移動できる経路を考えておく必要があります。
避難経路を考える3つのステップ
ステップ1:自宅から避難所までのルートを地図で確認する
まずは地図上で、自宅から避難所までの道のりを確認します。Googleマップなどの地図アプリも便利です。
ステップ2:危険箇所がないか確認する
ハザードマップの情報も参考にしながら、以下のような危険箇所がないか確認します。
- 川や用水路の近く(増水のおそれ)
- がけ崩れや土砂災害のおそれがある場所
- 古いブロック塀や電柱、看板など倒壊のおそれがあるもの
- 津波浸水想定区域
このような場所を避けるようなルートを選びましょう。
ステップ3:実際に家族で歩いてみる
時間に余裕がある時に、実際に家族で避難所までの道を歩いてみることをお勧めします。
- 子供と一緒に歩く場合の所要時間を確認できます。
- 途中の危険箇所を具体的に子供に教えることができます。
- 暗い時間帯や足元が悪い状況を想定して、昼間だけでなく夜間の道のりも確認できるとさらに良いです。
- 複数のルートを確認しておくと、災害時の状況に応じて選択肢が持てます。
「この道を、〇〇公園を曲がって、〇〇小学校まで行くんだよ」といったように、子供にも分かりやすい言葉で説明しながら歩いてみましょう。これも家族みんなで取り組める、大切な防災訓練の一つです。
避難所で知っておきたいこと・備えておきたいこと
実際に避難所で生活することになった場合、自宅とは環境が異なります。避難所での生活についても、事前に少し考えておくと、もしもの時に落ち着いて対応しやすくなります。
避難所で心得ておきたいことリスト
- 共同生活になることを理解する: 多くの方と一緒に過ごす場所です。プライバシーの確保が難しかったり、生活音などが気になる場合もあります。お互いに配慮する気持ちが大切です。
- 自治体や避難所運営者の指示に従う: 避難所でのルールや指示は、多くの人が安全に過ごすために必要なものです。協力的な姿勢で対応しましょう。
- 必要なものは自分で用意する: 食料や水、毛布などは自治体から配布されることがありますが、数に限りがあったり、すぐに届かない場合もあります。最低限必要なものは防災リュックに入れて持参することが原則です。
- 子供と過ごす工夫を考える: 避難所では子供が退屈したり、精神的に不安定になったりすることもあります。おもちゃや絵本、塗り絵など、子供が安心できるもの、時間を潰せるものを持っていくと役立ちます。また、避難所の他の子供たちとの交流や、簡単な遊びを取り入れることも良いかもしれません。
- 衛生面に気を配る: 多くの人が集まる場所なので、感染症対策が重要です。手洗いやうがいをこまめに行い、マスクや消毒液なども持参しましょう。
- 情報の入手手段を確保する: スマートフォンや携帯ラジオなど、正確な情報を得るためのツールは必須です。充電器やモバイルバッテリーも忘れずに。
- ペットとの同行避難について: 最近ではペットと一緒に避難できる「同行避難」が可能な避難所も増えています。ただし、避難所内で一緒に過ごせるか、飼育スペースが別かなど、対応は自治体や避難所によって異なります。事前に確認し、ペット用のケージやフードなども準備が必要です。
これらの点を事前に家族で話し合い、「避難所ではこうやって過ごすんだね」というイメージを持っておくだけでも、心の準備につながります。
家族で避難所について話し合う時間を作る工夫
日々の忙しさの中で、改めて避難所について家族で話し合う時間を作るのは大変かもしれません。でも、少しの工夫で、無理なく防災を取り入れることができます。
- ハザードマップや避難所マップを食卓に広げてみる: 食事の準備中や後片付けの合間、子供が宿題をしている横などで、ふと地図を広げて「ここに〇〇小学校があるね。ここが避難所なんだって」「この川が氾濫したら、この辺りが危ないらしいよ」といった会話をしてみましょう。
- 散歩や買い物に行くついでに避難所の前を通ってみる: 避難所に指定されている建物(学校など)の前を通った時に、「ここが避難所だよ。もしもの時はここまで来ようね」と子供に教えてみましょう。
- 絵本やアニメで災害について学ぶ: 子供向けの防災に関する絵本やアニメの中にも、避難所が登場するものがあります。それらをきっかけに、「〇〇ちゃんたちみたいに、わが家も避難所に行くことになったらどうする?」と話題を振ってみましょう。
- スマートフォンの家族間共有機能を使う: 避難所の情報をスマートフォンのメモ機能や家族で共有できるカレンダーなどに登録しておくのも良い方法です。
難しく考えすぎず、日常の延長で、少しずつ防災の話を取り入れてみることが大切です。
まとめ:知っている、話している、それだけで安心につながります
地域の避難所を知り、そこまでの道のりを家族で確認し、避難所での過ごし方について少し考える。これらは、特別な時間や労力をかけなくてもできる、具体的で実践的な防災への取り組みです。
完璧な準備を目指すのではなく、まずは「知っている」「家族で話したことがある」という状態を作ることから始めてみましょう。その知識と経験が、もしもの時にご家族皆様の冷静な判断と安全な行動につながります。
「わたしたちの防災計画室」では、これからも皆様が自主的に防災計画を立て、日々の暮らしの中で無理なく実践できるような情報を提供してまいります。この記事が、ご家族で避難所について考えるきっかけとなれば幸いです。