備えは「お金」も必要!子育て家庭の災害時のお金対策
子育てと日々の家事に追われる中で、防災対策に取り組む時間は限られています。備蓄品を揃えたり、避難場所を確認したりすることは大切ですが、「お金」の備えについても考えておくことが、もしもの時の安心につながります。
災害が発生すると、普段当たり前に使えるものが使えなくなったり、予期せぬ出費が必要になったりすることがあります。そんな時にお金の心配まで加わると、精神的にも大きな負担となります。ここでは、子育て家庭が知っておきたい災害時のお金に関する備えについてご紹介します。
もしもの時に必要になる「お金」の種類
災害の規模や被害状況によって必要になるお金は変わりますが、主に以下のような費用が考えられます。
- 当面の生活費: 食料、飲料、日用品(衛生用品、おむつ、ミルクなど)、交通費(公共交通機関が復旧した場合)、通信費など。コンビニエンスストアやスーパーでの購入、避難所生活での不足品の補充などに必要になる可能性があります。
- 避難生活や仮住まいにかかる費用: 避難所での生活が長引く場合や、自宅に戻れない場合に一時的にホテルや知人宅に滞在するための費用。自宅が大規模な被害を受けた場合は、仮住まいを探して引っ越す費用なども発生する可能性があります。
- 自宅の修繕・再建費用: 自宅が被害を受けた場合、修理や建て直しにかかる費用。公的な支援制度がありますが、自己負担が発生することも少なくありません。
- 医療費・医薬品: 災害によるケガや体調不良、持病の悪化などにより医療機関を受診したり、薬を購入したりする必要があるかもしれません。
- その他予期せぬ出費: 車両の修理、家財の買い直しなど、状況に応じて様々な費用が発生する可能性があります。
具体的な「お金」の備え方
これらの費用に備えるために、日頃からできることがあります。
1. 緊急予備資金を確保しておく
災害時だけでなく、病気や失業など、予期せぬ事態に備えるための生活防衛資金を準備しておくことは、家計の安心につながります。
- 目安額: 一般的には、生活費の3ヶ月〜6ヶ月分程度が目安とされています。無理のない範囲で目標額を設定しましょう。
- 準備方法: 毎月の家計を見直し、少額でも良いので「緊急予備資金」として別の口座に貯めていくことをおすすめします。使途を限定した口座にすることで、普段の生活費と混同せず管理しやすくなります。
2. 保険の内容を確認・見直す
もしもの大きな被害に備えるために、加入している保険について確認しておきましょう。
- 火災保険・地震保険:
- 建物や家財の損害を補償する火災保険は加入している方が多いと思いますが、地震や噴火、またはこれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没、流失による損害は、火災保険だけでは補償されません。地震保険への加入や、火災保険の地震保険特約を付帯しているか確認しましょう。
- 補償額は十分か、家財も対象になっているかなども確認が必要です。
- 持ち家の場合と賃貸の場合で必要な補償が異なります。賃貸の場合は、家財保険や借家人賠償責任保険などを確認しましょう。
- 生命保険・医療保険: 災害によるケガや病気で入院・手術が必要になった場合に備え、医療保険の内容を確認しておきましょう。災害時の入院や手術も保障対象か、給付金の金額は十分かなどを確認します。
- 共済など: 県民共済やCO・OP共済など、加入している共済の保障内容に災害に関するものがあるか確認することも有効です。
保険の契約内容や補償範囲は複雑に感じるかもしれません。保険証券を確認したり、保険会社の窓口や代理店に相談したりして、内容をしっかり把握しておくことが大切です。
3. 災害時のお金の管理・準備
災害発生直後は、ATMが利用できなかったり、クレジットカードなどのキャッシュレス決済が困難になったりする可能性があります。
- 現金: ある程度の現金を手元に準備しておくことが推奨されています。具体的な金額は各家庭の状況によりますが、数日分の生活費として1万円札だけでなく、千円札や小銭もあると便利です。
- 預金通帳、印鑑、保険証券などの保管: 災害発生後に必要になる可能性があるこれらの重要書類は、すぐに持ち出せる場所にまとめて保管し、家族で共有しておきましょう。万が一自宅が被災した場合に備え、コピーをとって実家や信頼できる場所に預けるなど、分散保管も検討すると良いでしょう。
- キャッシュレス決済: 災害時には利用できる場所が限られる可能性もありますが、サービスが復旧すれば役立つこともあります。普段利用しているクレジットカードやデビットカード、スマートフォンの決済アプリなどが利用可能か、事前に確認しておくことも有効です。ただし、スマートフォンの充電切れや通信障害のリスクも考慮する必要があります。
もしも被災してしまったら:利用できる公的な支援制度を知っておく
災害が発生し、自宅が被害を受けたり、避難生活を送ることになったりした場合、国や自治体による様々な支援制度があります。全てを事前に把握しておくのは難しいですが、いくつかの代表的な制度の名称を知っておくだけでも、いざという時に情報を探しやすくなります。
- 被災者生活再建支援制度: 自然災害により生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対し、最大300万円の支援金が支給される制度です(被害の程度や再建方法により異なります)。
- 災害弔慰金・災害障害見舞金: 災害により亡くなった方のご遺族や、重度の障害を負った方に対して支給される制度です。
- 災害救助法に基づく支援: 都道府県が実施するもので、避難所の設置、食料や生活必需品の提供、応急仮設住宅の供与などがあります。
- 義援金: 被災者へ公平・平等に配分される見舞金です。
- その他: 地方自治体独自の支援制度や、被災者向けの低利融資制度などがある場合があります。
これらの制度を利用するためには、罹災証明書が必要になることが一般的です。罹災証明書は、市町村が家屋の被害状況を調査した上で発行されます。被害があった場合は、必ず市町村に申請しましょう。
家族で話し合う・確認することリスト
お金の備えは、家族みんなで共通認識を持つことが大切です。以下の点を家族で話し合ったり、確認したりしておきましょう。
- 重要書類の保管場所: 預金通帳、印鑑、保険証券、マイナンバーカードなどの場所を家族全員が知っているか確認します。
- 銀行口座の情報: どの銀行に口座があるか、キャッシュカードはどこにあるかなどを共有しておきます。
- 加入している保険: どのような保険に加入しているか、保険会社や証券番号などを控えておきます。
- 災害時のお金の持ち出し方: 災害発生時に、誰が、どのように現金や重要書類を持ち出すかを決めておきます。
- 緊急連絡先: 保険会社や銀行の緊急連絡先を控えておきます。
まとめ
防災対策というと、つい物の備蓄や避難訓練に意識が向きがちですが、もしもの時に家族の生活を守るためには、経済的な備えも非常に重要です。
子育てや家事に忙しい毎日の中で、お金の備えを完璧にするのは難しいかもしれません。しかし、まずは「もしもの時にお金が必要になる」という認識を持つことから始めてみましょう。そして、緊急予備資金の確保、保険内容の確認、重要書類の保管場所確認など、できることから少しずつ取り組んでいくことが大切です。
経済的な安心は、心の安心にもつながります。家族で話し合いながら、わが家に合ったお金の備えを進めていきましょう。